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外食産業の上場企業一覧 ~ 新規上場の傾向と今後の見通し

2016年07月05日

リーマンショック前の水準に戻りつつある、外食業界

日本フードビジネスセンター株式会社 代表取締役 井上剛氏

日本フードビジネスセンター株式会社
代表取締役 井上剛氏

1999年11月の東証マザーズ開設を受け、2000年以降、大企業だけでなく小規模な成長企業の上場が相次いだ。外食業界でも2000年を境に上場企業数は増加し、多い年(2006年)では10社以上にのぼることもあった。しかし、2008年のリーマンショックで、その勢いは完全にストップ。2009年、2010年、2013年はゼロ、2011年はイートアンドの1社、2012年はチムニーとエー・ピーカンパニーの2社と、長い低迷が続いていた。

ところが、2014年からその風向きが変わりつつある。

「2014年、2015年は、外食企業の上場が増え、業界としては久しぶりに賑わいを取り戻しました。特にすかいらーくの再上場や、単一業態で上場を果たした鳥貴族は、ニュースでも大きく取り上げられ、世間でも話題になりました」

2014年には5社、2015年も4社が上場し、以前の状態に戻しつつあるように見える。ただし、これは外食業界に限ったことではなく、景気の回復を受けて、他業界でも2013年頃から増加傾向にあったという。むしろ外食業界は、市場の動きより少し遅れて回復に向かったということだ。

外食企業が得られる上場のメリット

では、ここからはあらためて、外食企業にとっての上場のメリットについて話を聞いてみたい。

「まずは資金調達です。新規上場で売り出す株式は、オーナーや役員、投資ファンドなどの既存株主の株を売る『売出し』と、上場にあたり新規で発行する株を売る『公募』の2つがあります。公募の場合は企業にお金が入るため、多額の資金が調達できます。比率は上場する企業により異なりますが、公募が50~70%を占めることが多いです」

調達した資金で、既存店への設備投資や新規店舗のオープン、海外進出などを行うことができる。

「仮に海外で店舗展開を行う場合、新しく取引をする現地の企業にとっては、上場しているかどうかが『取引をしても問題ないか』という判断の分かれ目となることがあります。というのも上場企業の場合、経営状況などの情報を開示しており、現地の企業が日本から情報を取り寄せるのも比較的簡単だからです。取引の判断材料がすぐに手に入るため、信用度が大きく変わってきますね」

さらに会社の知名度がアップするというメリットもある。

「上場した際にテレビや新聞で取り上げられるので、全国的に企業名を知ってもらうチャンスになります。また四半期ごとの決算報告が日経新聞に載るため、継続的な知名度の向上が望めるのです」

その影響は、企業経営の安定にも繋がるという。

「まず、人材募集がかけやすくなります。外食企業というと、労働環境や待遇がよくないなど、どうしてもマイナスイメージが付きまとうと思います。しかし『マザーズに上場しました』『東証一部上場企業です』となると、一定の社会的信用が得られ、新卒の一括採用やアルバイト募集で有利に働くのです」

また、取引銀行からの信用も厚くなり、資金の借り入れでも優遇されることがあるという。運用資金面の不安要素が減り、会社が倒産する可能性が低くなる。結果、従業員にとって安心して働ける企業となるのだ。

外食企業上場の今後の見通し

ちなみに、2016年に上場した外食企業は、「コメダ珈琲店」を運営するコメダホールディングスの1社のみ。今後の見通しはどうなのだろうか?

「イギリスのEU離脱に伴う市場の混乱がどのように影響するかはまだ未知数ですが、落ち着いて来れば、今後も上場を目指す外食企業は増えてくると思われます。というのも、東証マザーズやジャスダックへの上場の基準が、年々少しずつ緩和されてきているからです。外食企業は個人経営が大半を占めており、オーナーの中には『上場に興味はあるが方法がわからない』という方が多くいます。そういう方々に上場のメリットを理解していただき、ぜひ上場を目指してもらいたいと思います」

東証マザーズやジャスダックに上場後、東証2部、東証1部とより上の市場に指定替えしていく企業が多い。比較的小規模な企業でも上場できる現状を踏まえると、今後も外食企業の動向に目を配る必要がありそうだ。

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