食の研究所
漆原 次郎(フリーランス記者) 2015年11月25日
――「プラセボ効果」についてはどうお考えですか?効果のないものを「効果がある」と信じて摂取すると、時に心理的作用で体への効果が起きると言われていますね。「機能水」についても、メーカーが宣伝している健康効果を信じて飲んでいれば、プラセボ効果が起きる可能性はあるのかどうか・・・。
平岡 可能性はあると思います。プラセボ効果そのものは以前から認められていることですし、否定はしません。
市販の水製品のほとんどは“薬にも毒にもならない”と言いましたが、そうした水を飲んで得られる効果があるとすれば、それはプラセボ効果程度ということです
――今後もメーカーが宣伝を続ける限り、いわゆる「機能水」の健康効果に積極的に期待して投資する人はなくならない気もします。せめて、そうした人が水を選ぶときに留意すべき点はありますか?
平岡 先に述べたように「機能水」という語が使われること自体まずいと思いますが、それはさておき、まず、宣伝内容が、単なる個人の体験談だけか、具体的な研究結果を伴うものかが、大きな判断材料になります。個人の体験談だけの宣伝は、まったく信用できません。
さらに、研究結果が伴う宣伝について、学会発表や特許取得を示すだけのものか、査読を通った論文の存在を示すものかが次の判断材料になります。学会発表や特許取得は裏付けがなくてもできるので、これだけでは信用できません。
さらに、査読を通った論文に示されている研究内容が、動物実験だけでなく人を対象にしたものも含まれていること。他の研究者などが追試をして効果が証明されていること。そこまですべて明確になっている場合のみ、その水製品に健康効果を期待してもよいのだと思います。
実際、健康な人が飲む場合の効果として、そこまで明確になっている商品を私は見たことがありませんが。
1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。
<記事提供:食の研究所>
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