飲食業経営ノウハウ
2017年12月22日
近年、飛躍的に増加している飲食店の海外進出。その中でも注目度の高いASEANへの進出の流れを、陥りがちな失敗事例とともに3回にわたって紹介している。第1回では各国のマーケット調査について、第2回は進出の際の規制関連をお届けした。今回は、最適な進出先・進出方法の見つけ方や、現地のビジネスパートナーとの提携・運営に関する失敗事例をみてみよう。日本では考えにくい、うどんのだしがトラブルの原因となったケースも紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。
④進出先・進出形態を検討する ⑤運営方法を検討する |
第1回で紹介したマーケット市場の状況から自社のメニューや価格帯にあった国・都市を選び、第2回で紹介した外資規制や現地の商慣習などを考慮すると進出形態は絞り込まれてきたことだろう。
ASEANの多くの国では外国資本の参入は可能なものの、さまざまな規制がある。また、法制上は独自資本での参入が可能とされていても、実態は現地パートナーとの提携が必要になるケースもある。現地ビジネスパートナー選びは海外進出成功のひとつの鍵といえる。
<よくある失敗事例>
「現地の友人から紹介された企業が、現地のネットワークを持っていると期待していたが実際は思っていたほど力を持ってなかった」
友人からの紹介ということで安心して契約をしたが、当初聞いていた話と違う、というパターンは多い。今回の場合は、集客力のある有力モールなどに出店できるコネを持っていることを期待していたが、実際には持っていなかったという事例だ。
現地パートナーを選定する際に、重要なポイントは多い。資金力やコネはもちろん、パートナー企業が飲食店を経験していれば、必要な許可取得手続きや原料調達などがしやすくなる。下にあげる「現地パートナー選択の条件」を参考にしていただきたい。
<現地パートナー選択の条件> |
条件を満たしているかの調査は、パートナー候補に十分なヒアリングを行ったうえ、調査会社やジェトロなどの専門家に相談・依頼するといいだろう。自社にとって最良のパートナーを見つけてほしい。
<よくある失敗事例>
「現地パートナーと5年間のフランチャイズ契約を締結。5年後、契約を更新しないで他社に乗り換えたところ、元のパートナーがそっくりのロゴで同じようなレストランをはじめてしまった」
現地パートナーが競合他社になってしまう事例は少なからずある。業務提携契約を結ぶ際には、契約更新時や提携解消時の条件もしっかり確認しておくべきだ。業務提携は結婚にたとえられることがある。契約を結ぶ際には同時に離婚の際はどうするかまでをあらかじめ決めておかないと、大きなコストを支払うことになりかねない。
次ページに掲げるのは、主な進出形態ごとの特徴とリスクを図にしたものだ。
次のページ: 「ライセンシング」から「直接進出」まで、それぞれの特徴をみる
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