はじめての海外ビジネス

「こんなはずでは…」失敗事例から学ぶ飲食店のASEAN進出(2)~外資規制を確認する

2017年12月14日

■営業許可

<よくある失敗事例>
「カフェ運営で申請をしたら“あなたの業態はカフェではなくレストランになるため、ほかにも書類が必要です”と言われ、営業許可が出るまで時間がかかった」

国によっては、メニューやサービスが同じでも、店舗面積により業態が変わることがある。業態が変わると必要なライセンスも違うため、注意が必要だ。

参入規制のないシンガポールであっても、レストラン、カフェ、パブ、フードコート、セントラルキッチンの開業にあたっては所轄の監督官庁にライセンスの申請をしなければならない。インドネシアの場合は地方当局から「衛生証明書」「観光事業登録証」を取得しなければならない。酒類を提供する場合は「アルコール商業許可証」も必要となる。また、タイは店舗面積によって必要な届出やライセンスが変わってくる。

営業許可に関してはそれぞれの国々で厳格な基準が存在し、海外進出にあたって最も失敗も起こりがちだ。手続きに際しては適宜専門家と相談しながら進めていく必要があるだろう。

<各国の営業許可>

シンガポール ブルネイ マレーシア タイ インドネシア
レストラン、カフェ、パブ、フードコート、セントラルキッチンの開業に際し、所轄官庁のライセンスを要する。 ビジネスライセンスは不要だが、原則、ハラール認証を受ける必要がある(ハラールでないレストランの場合は免除申請が必要。2017年5月改正)。 事業所所管の自治体からビジネスライセンスを取得するなどの手続きが必要。アルコール類の販売にはリカーライセンスも必要(外資による取得は一般的に困難)。 店舗面積が200㎡未満の場合「飲食店設置の届出及び登録」が必要。また、200㎡以上の場合「飲食店設置のライセンス」の取得が必要(酒類等販売する場合は別ライセンスが必要)。 地方当局から「衛生証明書」、「観光事業登録証」を取得。酒類を提供する場合は、「アルコール商業許可証」も必要(ジャカルタ特別州の場合、群衆許可証も必要)。ハラル認証は義務ではない。
フィリピン ベトナム ラオス ミャンマー カンボジア
フィリピン証券取引委員会などへの各種申請の他、自治最小単位のバランガイからの許可(バランガイ・クリアランス)および地方自治体からの事業許可証も必要。 食品安全衛生証明書の取得が必要。200㎡超の飲食店は、環境保護計画登録書も必要。原則、酒類販売ライセンスは必要ない(実態上、要求される場合もあるので注意)。 監督当局による現地視察を受けたうえ、事業ライセンスを取得する必要がある(ただし、企業設立手続き開始前に監督当局による非公式視察もあり、物件が適切か確認される点にも留意)。 レストラン・ライセンス、また酒類を提供する場合はリカーライセンスが必要。ただし、「申請時点でビザの残存期間が1年間あること」等が取得要件であり、外資・外国人には極めて困難。 企業設立手続き後、保健省から衛生安全証明書を取得、また、区役所あるいは観光省からレストラン開業許可証を取得する必要がある。

 

■出店規制

<よくある失敗事例>
「出店地域の店舗面積制限で店舗に十分な広さが確保できず、席数が想定より少なくなってしまった」

タイの場合、首都バンコクでは人口密度に応じた店舗面積の制限があることに注意しなければならない。エリアごとに出店できる店舗面積が決められており、300㎡(約90坪)以上の店舗は、出店できないエリアもある。席数が多く取れる広い店舗で事業計画を立てていたのに、制限により十分な広さが確保できない場合、計画を見直す必要が出てくるだろう。

ほかにも、ラオス、ミャンマーでは、お寺や学校の近くには出店できないといった規制があるため、必ず確認をしてほしい。

<各国の出店規制>

シンガポール ブルネイ マレーシア タイ インドネシア
飲食店が出店可能な場所の制約があるので注意。ライセンス取得に際し、店舗物件の賃貸借契約、レイアウト図面等の提出も必要。 出店場所の土地の利用条件が、「商業用」であり、かつ「居住用」でないこと。 監督当局の定める認可条件に出店規制がある。また、ビジネスライセンスも、外食事業に適した施設であることが確認されたのちに発行される。 店舗面積の大きさがライセンス取得の要件となっている(バンコクでは人口密集度に応じた店舗面積の制限あり)。酒類等販売する場合は、出店場所の規制あり。 ゾーニング規定に基づき、商業エリアとされている地区に限り出店可。
フィリピン ベトナム ラオス ミャンマー カンボジア
原則、商業地域への出店が必要。 法令上、出店・賃貸借契約上の制約はないが、路面店は土地の権利関係書類の他、上述の証明書取得のための書類が揃わないことが多く、困難。 店舗立地・設計などに係る指針があるため注意。なお、国防・治安維持関連施設、寺、学校の近くに店舗を設けることはできない。 僧院および学校近辺に酒類を扱う飲食店の設置は認めない(当局内部規則)。また、近隣住民10人の推薦状がレストラン・ライセンス取得要件の一つである点は注意。 業種ごとの出店・賃貸借契約の制限は、特になし。

 

■就業者の資格所持

<よくある失敗事例>
「資格を取得した従業員が、他社に引き抜かれてしまった」

せっかく教育を行い、資格を取得させた現地従業員が、もっとよい条件を提示した他社に引き抜かれてしまうことがある。特に“日本料理店で資格を持っている”ことが大きなステータスとなるため、引き抜きの声も多いようだ。これを防ぐのはなかなか難しいが、従業員の研修を日本で行うなど、愛社精神を持ってもらい、離職を防止している企業もある。

従業員が資格を取得しなければならない国は多く、シンガポールの場合、スタッフは食品衛生資格を取得し監督官庁に登録しなければならない。ほかにも、イスラム教を国教とするブルネイの場合は、出店に際し原則ハラール認証を受ける必要がある。認証のためには各店に少なくとも2名のハラール監督者(イスラム教徒)を雇用しなければならない。なお、ハラールではないレストランの場合は別途、免除申請が必要となる。

<各国の就業者の資格所持>

シンガポール ブルネイ マレーシア タイ インドネシア
すべての食品取扱者は、衛生上の理由から食品衛生資格を取得し、当局に登録する義務がある。 資格は必要ないが、ハラール認証の申請に際しては、各店に少なくとも2名のハラール監督者を雇用しなければならない。 食品取扱者は、食品取り扱いの研修受講のほか、事業所での勤務を開始する前に予防接種(チフス)を受けなければならない(ビジネスライセンス取得要件)。 資格は必要ない。ただし、食事提供場の管理者は「衛生管理トレーニングコース」を受講し、これを修了しなければならない。
フィリピン ベトナム ラオス ミャンマー カンボジア
事業所の所有者、食品生産、食品取引に直接関与する者は、食品安全衛生に関する研修を受講しなければならず、健康診断証明書を取得する必要がある。 原則、従業員全員が必要な研修を受けていることが雇用条件となっている(運用上、雇用後に従業員全員または数名に対して、観光局が実施している研修(給仕等)を受けるように指導がある)。

 


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