企業インタビュー
2013年10月01日
台湾と日本のビジネスマッチング商談会やセミナーを開催し、台日間のビジネス交流の促進に努められている台日商務交流協信会様。台湾人の食のニーズや台湾でのビジネスを成功させる秘訣など、台湾企業が求める日本企業像をお聞きしました。さらに台湾進出を足掛かりに、アジア各国への進出の可能性も語っていただきました。
【Q】発足の経緯をお聞かせください
1992年に台湾と日本の間の経済貿易の強化を目的に、台日商務協議会として設立しました。設立当時の日本側のカウンターパートである、日台ビジネス協議会と共同で、二国間のビジネス交流促進のため活動を開始いたしました。
また、2009年3月より日本側のカウンターパートである「日台ビジネス協議会」が「日台ビジネス交流推進委員会」へ組織改編したのに伴い、「台日商務協議会」自身も組織の拡大と改編を行い、現在の「台日商務交流協進会」が設立されました。2010年には日本商工会議所、2011年には福井商工会議所連合会と協力協定を交わし、優秀な技術を持つ地方の中小企業との交流にもより一層力を入れております。
【Q】具体的な活動内容をお教えください
日本と台湾の二国間での、ビジネスマッチング商談会やセミナーを企画し、開催しています。
【Q】日本の地方都市との交流活動についてお聞かせください
以前の日本の中小企業は、海外へ進出する際のノウハウも乏しく、日本の大きな商社を通じての販売がメインでした。しかし、グローバル化が進む現在、経営者の考え方も変わり、独自で海外を目指したいと考える経営者が増えてまいりました。
ノウハウは乏しくても、日本の中小企業には高い技術と特色のある商品がたくさんあります。そのため、私たち「台日商務交流協進会」は、台湾企業と日本企業が直接的な交流をすることをお手伝いしています。
【Q】日本企業に対して、どのような印象をお持ちでしょうか
高い技術とクオリティの高い商品やサービスを提供しているという印象を持っています。特に中小企業に対して言えることですが、日本は大きな国内市場を持っているため、これまでは海外にはあまり目を向けず、国内市場を対象とした技術開発、販売戦略が主な方針だったような気がいたします。
【Q】日本の食品・食材や飲食店が台湾で受け入れられるために、最も必要なことはございますか?
商談会の様子
必要なことは三つあります。一つ目は、台湾人の嗜好や習慣を研究することです。現地の文化を評価したり、尊重することが大切です。
そして、二つ目は、食品メーカーの場合は、食材の品質や衛生面に気をつけること。この点は、安全性と衛生面の管理技術が高い日本企業にとって大きな強みではないでしょうか。また飲食店の場合は、味、接客(サービス)、店内の雰囲気や清潔さのクオリティが重要となります。台湾人はおいしくてサービスがよく、清潔で居心地が良い店であれば多少値段が高くても納得します。実際に非常に高い牛肉麺を出す台湾レストランもありますし、台湾でおいしいと評判の日系のラーメン店の価格は、日本での価格と同じくらいです。
最後に三つ目は口コミの評判です。台湾人はおいしい店や自分が推薦したい店は、インターネットを利用してすぐに親戚、友達、同僚に教えます。テレビよりもインターネットを見る時間の方が多いため、facebookやLineなどで爆発的に噂が広がりやすいと言われています。
【Q】台湾の立場で最も日本の食品産業に望みたい技術や製品はございますか?
台湾人は食品の安全性に対して大変敏感なため、安全・安心が一番重要です。とくに、食品添加物の安全性に対しては求めるレベルも高いように感じます。
【Q】台湾と日本の企業が協力すると、どのようなビジネスメリットがありますか?
一番のビジネスメリットは台湾だけでなく、中国大陸や東南アジアでのビジネスの成功率が高くなることです。台湾人は既に長年にわたり、大陸や東南アジアの経済分野で活動を続け、人脈を築き、彼らとはとても強い関係にあります。
大陸でのビジネスは、日本独自ではなかなかうまくいきませんが、文化や習慣、言語をよく知っている台湾人と協力することで大きなアドバンテージになります。ただ、同じ中華圏である台湾と中国も、細かい部分ではいろいろ異なることも多いので、日本企業の技術や企業管理ノウハウを最大限に活かし、地元の人々と協力してビジネスを行っていかないといけません。
また、東南アジアでは華僑の存在が大きく、台湾とのネットワークも強いため、台湾企業と連携した方がより有益かと思われます。台湾がハブとなり、日本、中国大陸、東南アジアへの展開が可能となるのです。
【Q】台湾企業が日本企業との協業で期待することはどのようなことでしょうか
日本の高い技術と品質は大きな強みです。日本と台湾の企業が連携することで、中国大陸、東南アジアといった、より広い市場に進出したいと思っているはずです。
【Q】ビジネスマッチング商談会での成功例をお聞かせください
台日間のビジネスについて語られた黃章富様
精密プレスや金属加工を得意とする日本企業の株式会社ゼロム様、株式会社最上インクス様が台湾企業の亞克翔捷集團と契約を交わしました。また、CFP工法(冷間鍛造順送)を開発した日本企業の株式会社サイベックコーポレーション様も、台湾企業の及成企業と契約を結んでいます。
【Q】最近の台日間のビジネス交流での傾向をお教えください
食品メーカー、外食など業態はさまざまですが、日本の地方都市の企業の海外進出がとても増えています。
【Q】進出を検討されている日本企業様へメッセージをお願いします
台湾への進出は台湾だけの市場には留まりません。台湾はとても小さな市場ですが、台湾企業との協力関係を築くことができると、中国大陸や東南アジアの大きなマーケットでの成功の可能性にもつながるのです。
また、台湾と日本は世界でも類に見ないほど、お互い親近感や友好感情を持っています。ぜひ台湾へ進出され、大きなチャンスをつかんでください。お手伝いすることがありましたらご遠慮なくご相談ください。
1992年台湾と日本の経済・貿易関係を強化するため「台日商務協議会」として発足。2009年に現在の「台日商務交流協進会」に拡大し、組織変更が行われる。現在は、日本側のカウンターパート団体「日台ビジネス交流推進委員会」と共同で台日間のビジネス交流事業を促進している。さらに、ビジネスの分野に関連し、技術・文化・学術の交流促進活動も行っている。
業種:社会団体 従業員数:役員数 24名、従業員 6名
本社所在地:11011 台北市信義路5段5號7樓7A12-13室
お話:秘書長 黃 章富 氏
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