企業インタビュー
2013年11月12日
パンケーキで有名な東京・原宿のカフェ「uzna omom」の姉妹店として、2013年5月にオープンした「uzna omom 杏桃鬆餅屋」様。オープン直後から若者を中心にSNSや口コミで話題となり、行列が絶えないと話題の人気店です。今回は、店舗演出のこだわりや、近年台湾でも増加傾向にあるカフェ業態の動向についてお聞きしました。
【Q】台湾での出店のきっかけと経緯を教えてください
社長が親日家ということもあり頻繁に日本へ行っていたのですが、出張の際は、日本ではどういったものが流行っているのかを常にリサーチしていました。とくにここ数年、日本でブームとなっていたパンケーキには注目していて、台北でもパンケーキブームを広めたいとカフェの経営を検討していたんです。ちょうど、去年の夏頃に東京原宿で人気のパンケーキカフェ「uzna omom」を見つけ、そのおいしさに感動したことがきっかけとなり、台湾店をオープンすることになりました。
【Q】進出時や開店時期に苦労されたことはありますか?
「uzna omom」のようなパンケーキは、台湾にはなかったため、原宿店の味を忠実に再現することで、台湾人を驚かせたいと考えていました。しかし、原宿店の味を再現するのは本当に難しく、単純にレシピをマネするだけではだめでした。原料の小麦粉や生クリームも日本のものを使用しなければいけなかったからです。鮮度が命となる卵は台湾産を使用していますが、どの品種の鶏卵にするか決めるのにも時間を費やしました。
【Q】「uzna omom 杏桃鬆餅屋」のメニューやサービスのこだわりはなんですか?
おもてなしの心を抹茶にこめて
本物のパンケーキを理解してもらうため、材料にこだわっています。さらに、台湾店では店内で抹茶をたてて提供しているのですが、これは台湾のお客様にお茶をたてて飲む日本の文化を楽しんでもらうためです。アットホームな雰囲気の中で、気軽に日本文化に触れていただける空間作りをしています。
また、台湾人は食事の時にお酒を飲む習慣があまりありません。でもパンケーキと白ワインの食べ合わせは非常に良いので、お店からのお勧めの食べ方としてご案内しています。
【Q】店舗の雰囲気作りで気を付けていることはありますか?
アットホームな雰囲気作りを心がけていて、「大人カワイイお店」がコンセプトです。店舗のデザインは、あたたかみのあるテイストで家の雰囲気を残して仕上げました。嬉しい御声ですが、お客様の中にはご自分の家でマネしてみようという方もいらっしゃいます。
【Q】どのような客層のお客様が多いですか?
18~45歳くらいの女性客がメインです。平日は全体の98%が女性のお客様です。また、インターネットで調べてきてくださるお客様や、夏休み時期には大学生、さらに夜には仕事帰りの方がたくさんいらっしゃいます。
【Q】行列店としても有名ですが、行列に並んでいただくお客様への対応の工夫はありますか?
1組のお客様の利用時間が平均2時間くらいなので、最大で2~3時間お待ちいただくこともあります。お待ちいただくお客様には、あらかじめ電話番号を伺い、順番になったらお呼びしています。待ち時間を利用して近くで買い物をしていただくなど、お客様の大切な時間を無駄にされないような工夫です。もちろん、予約を入れすぎると当日全く入店できない店舗となり、サービス低下にもつながるので、席数に合わせ余裕をもった予約数でおさえるように対応しています。また、台湾では行列店でもいとわずに並ぶ傾向があると言われていますが、実はこれは台北の人だけです。台中や南の高雄の人は行列を嫌う傾向にあります。
【Q】雇用面で気をつけていることはありますか?
店舗のコンセプトは「大人カワイイ」
従業員にはお客様の目線に立ったサービスを提供するように指導しています。ただ料理を運ぶだけでなく、メニューの説明や食べ方も丁寧にお伝えすることで、お客様との距離も近づくからです。マニュアル通りに接客するだけでなく、自分の個性やお客様に合わせた接客をすることが重要です。やはり飲食店を経営していく中では、何よりも人材が大事なので、スタッフのやる気をかきたて、自分の仕事に対する充実感を感じてもらえるよう、日々育成を行っています。
【Q】台湾のお客様の特徴は?
新しいものが大好きで日本への憧れが強いです。また、人と人との距離が近いので、すぐに近くの人に評判を伝えたがる傾向にあります。飲食店についても、口コミやインターネットのSNSなどを通じて評判はすぐに広がります。また、台湾人は日本人よりも食事の時間が長く、店の滞在時間も長いため、細かいところも目につくようです。評価自体も辛口ではっきりとした意見が多いので、店舗としては改善すべきことがわかりやすいですね。次回も来店いただけるように、お客様の声に真剣に耳を傾けて対応することが大切になります。
【Q】台湾ではカフェススタイルの飲食店が増えていますよね?
この10年間で増えてきていますね。欧米のカントリースタイル、日本のおしゃれカフェ、宮廷風のクラシックスタイル、そして個人の方が経営されているこだわりとオリジナリティをもった個性的なカフェが多くなってきました。
【Q】日本企業のイメージ、協業相手としての日本企業の良い点・悪い点などを教えてください
日本の企業は組織で動くことが強いという印象があります。ただ、組織は強く精密に動きますが、柔軟性に弱い部分もあります。台湾は社会情勢を一つとっても、とにかく変化のスピードが早く、新しいものに貪欲なので、よりおもしろいものや新しいビジネスへと方向転換していきます。台湾企業のニーズを満たす対応は難しいかもしれませんが、スピーディに対応していただけることが必要です。
【Q】これから進出される、もしくは進出を検討されている日本企業へ、アドバイスをお願いします
これからも台湾人の興味はどんどん変わっていきますが、多くの台湾人は料理でも飲食店でも、まだ本物を知らないような気がします。ただ単に目新しいものや表面的に台湾人に合わせたニセモノではなく、そのものの本質を伝えることが大切です。
2013年5月に東京原宿の人気パンケーキカフェ「uzna omom」の姉妹店、「uzna omom 杏桃鬆餅屋」を台北でオープンした外食企業。
女性客を中心に高い支持を得て、オープンして瞬く間に、連日予約と行列でいっぱいのカフェとなる。
業種:外食 店舗数:1店舗 従業員数:20名
本社所在地:台北市大安区忠孝東路4段216巷19弄16号
お話:経理 余 美玲 氏
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