企業インタビュー
2013年10月15日
日本の東京都内を中心に、カレーうどんが人気のうどん屋を9店舗運営されている株式会社古奈屋様。2011年7月にタイで1号店をオープンさせ、タイ人の食習慣に合ったメニュー構成でバンコク市内でも評判となりました。今回は、日本のこだわりのカレールーの味をタイで再現するまでの苦労と、売上回復までの経緯について伺いました。
【Q】タイ進出の背景と、現在の事業内容をお聞かせください
2010年8月にタイのシンハービール様より、タイで当社のカレーうどん店をオープンさせたいとお声がけいただいたことがきっかけです。その後、現地調査を実施し、2011年7月に一号店をオープンしました。現在は、当社が出汁、ルー、麺、カエシを提供し、シンハービール様側は店舗の運営という役割分担で展開しています。
【Q】タイ進出時の苦労や印象的な出来事はございますか?
タイオープン時には、当社の味、特にカレールーを再現することに苦労しました。私は日本でもセントラルキッチンの責任者をやっていましたが、日本で覚えたノウハウや経験だけでは、こちらでは通用しませんでした。
秘伝のカレールーを仕込む釜
使用する野菜についてはタイの野菜の場合、大きさや味がばらつくことは当たり前です。そもそも日本のものとは味も違うので、野菜や果物が実際に原料として使えるものなのか把握した上で、タイで一年を通じて品質のブレがなく提供できるようにするのは大変な苦労でした。
企業秘密の部分もありますが、例えば玉葱の使い方ひとつにしても、どういった玉葱をどう調理すれば良いのか研究を重ね、釜の使い方も工夫しました。こうした苦労を一つ一つ乗り越えて、やっと満足できる安定した味を提供できるようになりました。
【Q】売上面での苦労もございましたか?
オープン直後は行列ができたものの、すぐに飽きられてしまって40%ほど売上げが落ちたこともあります。
その時は、タイ人にあったSサイズのメニューを構成したり、新メニューを投入することで挽回を図りました。また、製造原価の削減も行い、現在では少しずつ回復してきています。来年には3号店も出店する予定です。
【Q】タイ人に人気のあるメニューをお教えください
やはりお店の看板メニューであるカレーうどんが人気です。こちらでは大人数での来客が基本です。団体のお客様でも、いろいろな種類を召し上がっていただけるように、カレーうどんのメニューを増やしています。その中でも「えび天カレーうどん」や「とんかつカレーうどん」の人気が高いです。
【Q】タイ人と日本人の食習慣の違いはございますか?
日本人は一日3回の食事が基本ですが、タイ人は一日に5回くらい食事をします。ただ、一回あたりの量は少なめなので、当社でもSサイズのメニューが人気です。
【Q】客単価をお教えください
客単価は一人当たり200~300バーツです。現地の屋台などと比べると高めですが、経済が上向いていることもあり多くの方にご来店いただいています。
【Q】仕入先は現地企業が多いのでしょうか?
野菜や果物は現地で仕入れていますが、調味料・スパイスなど味を決める要素については日本から輸入しています。
【Q】タイの商習慣で日本企業が陥りやすいことはありますか?また、その解決策もお教えください。
お話をお聞きした秋山様
納品日などの約束事にルーズなことが多く、商品の欠品も多いように感じます。日本の感覚で仕事を進めようとしても難しい点があります。しかし、その反面、非常にまじめな方もいます。タイ人とは仕事がやりづらいと決めつけてしまうのではなく、丁寧にコミュニケーションをとって、こちらもタイのことを好きになることが大切だと思います。
【Q】日本企業にメッセージをお願いします
バンコク市内を中心に最近は日本食レストランの競争が激しくなってきていますが、品質などを工夫すればまだまだチャンスは大きいです。また、親日の国ということもあり、日本企業がやりやすい部分もあります。ぜひ、希望と自信を持ってトライしてください!
日本の東京・巣鴨に、1983年に一号店をオープンさせ、行列のできるカレーうどん店として人気を博す。その後、東京都内を中心に13店舗をオープン。
2010年8月には、タイのシンハービールからの業務提携の提案を受け、2011年4月に正式契約。2011年7月より、バンコク市内に一号店をオープンさせる。
2014年に三号店もオープン予定。
業種:外食 店舗数:2店舗 従業員数:2名(店舗はシンハービール運営のため)
本社所在地:228 Soi Ramintra67 yak6 Kannayao Bangkok 10230
お話:社長 秋山 氏
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