企業インタビュー

中国でもシェアを広げる「月桂冠」の取り組み(月桂冠(上海)商貿有限公司)

2013年08月27日

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日本の日本酒市場で長きにわたりトップシェアを誇る「月桂冠」。海外進出も順調に行っており、その輸出実績は世界50カ国にもおよびます。そして、中国の現地法人では日本産日本酒だけでなく、現地生産した商品も加え、豊富なラインナップでシェアを拡大しています。

【Q】中国進出の経緯をお教えください

中国とのお付き合いは、2001年から広東省・深圳(しんせん)の販売代理店を通じて中国国内への供給を開始したことにはじまります。2007年10月には上海に駐在事務所を開設し、酒類市場調査、各地の販売代理店への支援活動を通じて、日本料理店をはじめとする料飲市場などへ販売してきました。

そして、2011年に、清酒月桂冠をより多くの中国のローカルの方にも楽しんでいただく、という目的で、上海に現地法人を設立しました。

【Q】どのような商品を販売されていますか?

純米大吟醸酒、特別本醸造酒、本醸造酒、生貯蔵酒、レギュラー酒、原酒、にごり酒、芋焼酎などを取り扱っており、2013年中にはスパークリング清酒、純米酒、梅酒を加える予定です。日本からの輸入に加え、現地酒造会社での委託製造による製品の生産も行っています。

【Q】販売先はどのような業種が多いですか?

本来は家庭でも飲食店様でも月桂冠を楽しんでいただきたい、という夢があります。しかし、現在は日系のレストランや飲食店向けの業務用がメインとなっており、家庭用清酒はまだまだこれからです。今後は小売向けや、中国や韓国、欧米人の方々に向けてどう拡大していくか、が大きなテーマとなっています。

【Q】中国人の方の日本酒に対する反応はいかがでしょうか?

同じ中華圏でも台湾、香港、シンガポールなどと中国には大きな隔たりがあるのは事実です。また、「偽物」の存在が市場の健全な育成に歯止めをかけている部分もあります。

しかし、私共は世界中で日本酒の伸長を何度も経験しており、中国でも日本食の普及、一般化と共に日本酒が受け入れられる土壌が少しずつ育まれていると感じています。まだローカルの方がどういう味のものを好むか、というところまでのマーケティングはできておりませんが、台湾市場で長く愛され、また韓国市場において清酒が急速に受け入れられたのと同様、中国市場においては同じコメ文化圏の国として、そのままの清酒が受け入れていただける素地があると認識しています。

今後はより細やかな食とのマッチングや説明が必要と考え、説明や勉強会の場面を多く設定していく予定です。

【Q】日本から輸入したものとは別に、中国で製造している日本酒があるということですが、現地製造に力を入れようと思った理由はなんでしょうか?

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中国で販売中の純米大吟醸

まずは供給体制を充実させるということ、そして、ローカルの方にも手頃な価格帯で月桂冠の魅力に触れていただきたいという思いからです。

中国のみならず世界各国には「関税」という大きな壁が存在します。我々が日本産清酒のみを武器に現地ローカルの方々に月桂冠清酒を楽しんでいただこうと考えても、価格設定の上での限界があります。これをクリアするために、私共のみならず日本酒メーカーは海外での生産を考えていると思います。

【Q】現地製造で気をつけている点はありますか?

われわれは日本で京都・伏見の他、100年以上にわたって神戸・灘でも酒造りを行ってまいりました。また、海外での現地製造については、アメリカ・フォルサムですでに20年の経験を有しております。

中国での委託生産には、弊社が伏見やアメリカで長く培った清酒造りのノウハウを委託企業様に提供し、技術陣が全ての工程に張り付いて管理し協業して造り上げたもので、出来上がった商品は酒造りのプロ集団が納得できるものとなりました。

ちなみに、いまやアメリカの月桂冠はアメリカ向けの生産工場の位置づけを遥かに超え、ヨーロッパ、南米、カナダ更には韓国への生産拠点として機能しております。我々が協業で造り上げた中国産清酒が周辺各国で飲まれるようになる日を私共も願い、活動を継続していきます。

【Q】また、日本の月桂冠は約50カ国(2010年現在)への輸出実績がおありですね

日本では焼酎ブームが話題となりましたが、これに類する製法の酒は世界各国に存在します。しかし、コメから造る発酵酒というカテゴリーで、清酒は世界的にも唯一無二の存在と考えております。味わいの幅が広く、種類が多く存在するのも清酒の素晴らしさの1つです。食中酒としてはワインにも劣らないほど、料理とのマッチングが可能なお酒であると自負しております。

【Q】日本企業へのメッセージやアドバイスをお願いします

弊社は戦前に一度、中国進出を試みたことがあります。ある人物が瀋陽の地に降り立ち、1人で出張所を立ち上げ、代理店網を築きあげ、現地での生産を開始し、業績向上を認められ支店昇格を果たしました。彼の夢はそこで潰えましたが、それから70年の時を経て、先代の総経理が再度1人で苦労して法人を立ち上げ、私が後を引き継ぐこととなりました。中国は日本の市場とはまったく異なる苦労がありますが、もはや日本市場では感じえない、「モノを多く食べる口と胃袋」を持つ若く元気な国はやはり魅力があります。この市場で同じ日系企業の戦友が増えることを祈っています。

月桂冠(上海)商貿有限公司

2001年から販売代理店を通じて中国国内への供給を開始。上海で駐在事務所設立を経て、2011年7月に上酒類等の販売会社「月桂冠(上海)商貿有限公司」を開設した。日本から輸入した日本酒に加え、委託製造した商品も取り扱い、飲食店や小売店へと販売している。

月桂冠(日本)は事業戦略テーマに「海外事業の推進」を掲げており、中国以外にも約50カ国(2010年現在)以上の国々への日本酒の輸出実績がある。

業種:飲料製造 従業員数:6名
本社所在地:上海市長寧区長寧路1027号上海多媒体産業園37楼
お話: 総経理 村上 氏

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