企業インタビュー
2014年02月26日
王子奇能紙業(上海)有限公司様は、王子キノクロス株式会社の中国現地法人。レストランで出されるおしぼりなど、乾式パルプ不織布の加工・販売をしております。中国のおしぼり事情や、飲食店の衛生事情について伺いました。
【Q】日本の事業内容から簡単にご紹介お願いします
王子キノクロスは、おしぼり、クッキングペーパーや芳香剤の芯、紙おむつの原材料となるキノクロス(乾式パルプ不織布)、パルクロス(レーヨン入り乾式パルプ不織布)などを製造・販売しています。
【Q】王子奇能クロスの沿革を教えてください
2004年に、クッキングペーパーとおしぼりの販売を目的に進出し、2005年に現地製造を始めました。しかし、クッキングペーパーの方は市場が成熟しておらず、2008年に販売を休止しました。
その後、紙おむつやフェイスパック用のコスメティック商材(乾式不織布基材)の拡販に成功し、現在の売り上げ比はおしぼりが2割、コスメティック商材が8割です。
【Q】紙おしぼり事業を始めるにあたり、苦労された点を教えてください
中国は布おしぼり、スパンレース製おしぼりが主流で、紙おしぼりは耐久性が弱いとして中国市場で受け入れられなかった点ですね。地道にホテルや飲食業界向けの展示会で製品を紹介していました。
しかし、2002年のSARS流行をきっかけに中国の人々の衛生意識が徐々に高まり、現地企業にはない衛生管理体制で製造している弊社のおしぼりは受け入れられるようになりました。現在は順調に売り上げを伸ばしています。
【Q】お客様はどういった企業が多いでしょうか?
もちろん、飲食店が多いですね。ただシェア率では、上海市内にあるおしぼりを出す飲食店約3万店のうち、弊社は2~3%に過ぎず、開拓の余地が残っています。
最大の取引先は、中国全土に展開する万達グループの映画館です。ポップコーンに添えるおしぼりとして採用していただいております。
中国も高齢化社会の兆しが見えているので、病院など新しい顧客開拓に向け、医療用・介護用のおしぼりの開発を視野に入れています。
【Q】飲食店のおしぼりの出し方について、日本と中国の違いはありますか?
小宮山泰総経理、第一営業課孫永亮様
日本はおしぼりが無料ですが、中国のおしぼりは有料です。規模の大きなレストランの中には、おしぼりの売り上げだけで年間30万元(約500万円)になるというお店もあります。
【Q】中国でも生産されていますが、工場運営に関してどんなところが日本と異なりますか?
転職率が高いことですね。時給など目先の条件で転職してしまうので、長期的なキャリアを築くメリットを明確化するように心がけています。また、工場従業員は食事を非常に楽しみにされているので、社員食堂を充実させるなどして長く勤めたいと思える環境づくりに取り組んでいます。
【Q】中国での暮らしは、生活者としてどうでしょうか?
発展スピードが速く、ダイナミックな動きをしているのがいいですね。
オリンピックと万博を経て近代化し、車のクラクションも減りましたし、人も列に並ぶようになりました。人々は生活に楽しみを見出して、表情も柔らかくなったように感じます。また、コンビニもたくさんあって、日本の地方都市より便利です。ただ、生活者として飲食業界をみると、ハード面の発展に比べてサービスなどのソフト面はまだまだですね。
王子ホールディングスグループ下の王子キノクロスの上海法人。日本でもおなじみの同社のおしぼり「タイムリー」の製造や、メーカー向けに紙おむつなどの材料となる乾式不織布基材を製造・販売している。中国での衛生意識の高まりから、無香料かつ安全管理が徹底した工場で作られたおしぼりの売り上げが好調。
業種:乾式パルプ不織布の生産・加工、販売 従業員数:工場従業員60名
本社所在地:上海市长宁区仙霞路88号太阳广场W506室仙露路88号W506室
お話: 小宮山泰 総経理、第一営業課 孫永亮 氏
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