企業インタビュー

在住27年の女性実業家に聞く!インドネシアの食ビジネス事情(PT.TIGA DARA CEMARA ABADI)

2014年04月22日

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今回は、ジャカルタに住む日本人の間で有名な日本食料理店「美卯-miu-」を訪問しました。この店を切り盛りするのは、ジャカルタで飲食、旅行、サービスアパートメントなど幅広いビジネスを手がけてきた松田由美さん。インドネシア在住暦28年の経験をもとに、近年の飲食ビジネス事情をお聞きしました。

【Q】インドネシアに来られた経緯を教えてください

ガルーダ・インドネシア航空で働いたことがきっかけでインドネシアに縁を持ち、こちらに来ました。ジャカルタでは1986年にハイアット・ホテルのセールスマネジャーとして仕事を始め、その後ジャカルタの日本人人口の増加からニーズを感じ、日本人向けの旅行代理店やサービスアパートメント、飲食店を立ち上げました。

【Q】現在手がけている飲食店について教えてください

日本料理とインドネシアのシーフード料理の店「美卯」を、日本人街のブロックMと、日系企業が多く入居するオフィスビル「スミットマス」の2箇所でやっています。

日本らしい細やかなサービスと安心感を提供しながら、インドネシアの文化や料理を味わっていただける場所を作りたいと思ったのが、お店を始めたきっかけです。ブロックM店はシーフードを中心としたインドネシア料理と本格和食のお店で、日本酒や焼酎を飲みながらインドネシアの伝統舞踊もご覧いただけるようにしています。 

【Q】最近感じるインドネシアの飲食ビジネスの変化などありましたらお聞かせください

ウェイトレスなど人材を集めづらくなったと感じています。以前は優秀さ、愛想の良さ、我慢強さも兼ね備えた人材を簡単に採用できたのですが、最近はなかなか集まらなくなりました。以前と比べると、飲食店以外の仕事の選択肢が出てきたためでしょう。それなりの給料を用意しないと人が集まらなくなりました。

【Q】食材の調達方法で、変化はありましたか?

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人気のパリパリスティックサラダ

輸入食品の取締りが厳しくなったことが大きな変化といえます。

インドネシアでは食材を輸入するにあたり国家食品・医薬品監督庁(BPOM) からMLと言われる輸入許可が必要なのですが、法が形骸化していたため、日本の食材がなんでも手に入るという状況がずっと続いていました。しかし2008年、BPOMが突然取締りを始め、日本食スーパーの店頭にあったML未取得の輸入食材すべてが差し押さえられるという事件が起きました。それ以降、入手できなくなった商品も多いです。

私のお店では日本から個人輸入している食材もあるのですが、関税など手続きに時間がかかるようになったものもあります。

【Q】現在はどのように食材調達をされていますか?

インドネシア国内で揃えるようにしています。野菜の質も上がってきましたし、オーガニックの野菜も作られるようになりました。

また、最近はインドネシアで現地生産をするという日本の事業者が増えています。(編注・老舗みそメーカー、さつまあげメーカーなどがジャワ島内で現地工場を設立)

農業では、長野の農業団体がジャワ島内で土地を確保し、お米や野菜の生産を始めているという例もあります。 

【Q】日々の生活で感じるインドネシアの国民性について教えてください

インドネシアの国民性として、日本の方はよく「のんびりしている」とおっしゃいますが、ちゃっかりしてしたたかな面もあります。

ビジネスの交渉の時は結構計算高く、個人主義的な一面があるように思います。むしろ、日本人の方が人が良くてだまされることもあるので、注意したほうがよいでしょう。 

【Q】インドネシア進出を考えている企業にメッセージをお願いします

最近は日本をはじめ多くの有名なチェーン店が進出してきています。ただ、現在はインドネシア人の舌も肥えてきていますので、ただ単に「日本で人気のラーメンですよ」「ソバですよ」といっても長くは受け入れられないんじゃないでしょうか?しっかりした味作り・サービスをやっていく必要があるでしょうね。

趣味で外食をやりたいというインドネシア人投資家も多いみたいなので、日本の方はちゃんと見極めたほうが良いと思いますね。 

PT.TIGA DARA CEMARA ABADI

インドネシアの伝統舞踊を鑑賞しながら和食とインドネシアのシーフード料理を味わえる飲食店「美卯」を運営。石川県の本格郷土料理と、日本人の舌にあわせたインドネシアのシーフード料理、日本人女将のよる決め細やかなサービスが好評で、「大切なお客さんも安心して案内できる」と駐在員や出張者の信頼を得ている。

業種:飲食業 店舗数:2 従業員数:30名
本社所在地:台北市中山區南京東路二段101 號10 楼203 室
お話:松田由美 氏

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