企業インタビュー
2015年01月13日
日本では手頃価格の定食屋として272店舗(2015年1月現在)広げるやよい軒。2014年7月にオープンした台湾一号店は定食一人前1000~2000円の日本食レストランで、毎週日曜の夜には高級車が何台も店の前に停まっているそうです。中国やシンガポールなど4カ国でやよい軒とHotto Mottoの出店を進めてきたプレナス様の齋藤裕剛総経理に、台湾で事業展開をする考え方について伺いました。
【Q】プレナス様は日本国内では弁当屋Hotto MottoやMKレストランも展開されていますが、なぜ台湾一号店をやよい軒にしたのでしょうか?
会社として海外ではやよい軒を中心に展開しようという方針があったためです。
私自身、北京でHotto Mottoの運営を手がけて感じたことですが、東南アジアを中心に海外の人は、高くて、良くて、カッコイイ日本の品を求めているので、安くてリーズナブルなメイドインジャパンを出してもあまり興味を示してもらえません。原則としてやよい軒を売り出し、見込みがあればHotto Mottoの業態でも出店するのが会社の方針です。
【Q】客層の年代や性別を教えてください
日曜日は7割が家族連れで、ベビーシートがなくなる状態です。あとは2割がカップル、1割が1人客です。平日は、昼はグループ、夜はグループ&家族連れで、30代から50代のお客が中心のお店となっていますね。1人客は日本と違って圧倒的に女性が多いです。
注文はタブレットで受ける仕組みだ
オープン前は主な客層は20代後半から40代前半の男女というのをイメージしていましたが、実際は60~70代、一番ご高齢だと92歳の方にまで来て頂いています。離れたところから1時間以上かけてバス・電車を乗り継いで家族で食べに来てくれたお客様もいて、非常に嬉しい反面、世界でも稀に見る珍しいマーケットなのかなと思います。
日によって客層がランダムに変わることもあり、まだ「うちはこういうお店です」と言える状況ではないのが正直なところです。
【Q】なぜ、話題店になったのでしょうか?
台湾大手TV局のTVBSに取材されたことがきっかけだと思います。僕が中国語で取材を受けているのを聞いて、他のTV局の方も「なんだこいつ、日本人のくせに中国語ぺらぺらじゃないか」と面白がって取材に来てくれたんじゃないかなと思います(笑)合計TV局4社、新聞・雑誌で7社の取材を受けました。
【Q】アルコールメニューの売れ行きはいかがでしょうか?
予想したよりは好調です。案外、昼にビールを飲んで定食食べて帰る、という60代くらいの男性グループがいらっしゃるので、まあまあ出数は悪くないですね。
元々、台湾に進出した日系居酒屋さんですら、売り上げのアルコール比率は低いと聞いていました。居酒屋でもない定食屋のうちが積極的にアルコールを売ってもよい結果にならないだろうと判断し、アルコールはビール、日本酒、焼酎、ワインといった最低限のメニューをそろえる程度にしています。
【Q】メニューの味を日本と変えていますか?
日本と全く一緒にしています。タレも全量輸入しましたし、原材料に関しても入れられる物は輸入しました。台湾の方は食材についてもよくご存知で、「コメは日本のどこ産のコメなんだ?」と聞かれることもあります。
【Q】台湾で一番売れているメニューは何ですか?
すきやき定食
ミックスとじです。注文トップ3は、ミックスとじ、チキン南蛮、すき焼きの3つが順位を争っています。
ミックスとじが売れているのは、一度に色々な種類の物を食べることができるからですね。中華圏の人にとって、単品の料理では物足りないんです。やっぱりみんなで色々な物を食べる習慣のある国ですからね。それと、その商品名ですね。うちの社員が付けた「豪華煮」というメニュー名は、台湾の方にインパクトを与えられたと思います。売れる予測があったので、メニューの画像も大きくしました。
【Q】スタッフのアルバイトと社員の構成比を教えてください
社員4人、アルバイト30人です。社員については、日本から来た私ともう1人、あとの2人は現地採用の台湾人です。バイトは30人くらい登録されていますが、たまにしか入れない人、しょっちゅう入る人、社員になりたいというなど、様々です。
【Q】従業員教育の中で気をつけていることはありますか?
従業員教育では、経営担当の私と、もう1人日本から来ている店舗運営のプロである総経理特別助理とはちょっと役割が違うんですよね。
私は色んな国で商売をやってきましたが、全ては情熱だと思っています。それさえあればなんとかなる。どんな人種だろうが、どんな国の人だろうが、どんな言語だろうが、なんとかなる。それがベースにあった上で、総経理特別助理のようなプロが、細かい指導をする。ただ、無駄な細かいことはさせたくないので、たくさんマニュアルがあるわけではなく、お客さんが楽しくご飯を食べて帰ってくれればいいなといった感じです。
厨房では徹底して、マニュアル通りにやりなさい、さらに自分で気がついたことは進んでやりなさいと指導しております。台湾プレナスの各従業員には、会社のお客さんではなくて、みんなのお客さんというイメージを持ってもらうように伝えています。
【Q】過去にやよい軒を立ち上げたタイ、シンガポール、豪州と比べて、立ち上げの難易度やスピード感はいかがでしたか?
まずタイにおいては、現地のMKレストランさんという外食企業がフランチャイズチェーン契約を組んで展開して下さっています。プレナス本社からメニューを入れるところ以降は、MKレストランさんに任せています。元々何百店舗も展開されているような企業さんなので、物件のことも分かるし、資金的な余裕もあるため瞬く間に店舗数が増えました。タイでは今現在105店舗となっています。
シンガポールはMKレストランさんとプレナスの合弁なのですが、こちらでは1号店の物件を決めるのに苦労したと聞きました。また、人材雇用に関して、シンガポールには独自ルールがあるので、人の確保にも苦労したようです。
豪州は、外国から馴染みのない物が持ち込まれるのを非常に警戒する国なので食材の調達に苦労しました。エキス段階で動物性のものがダメなど数々の規制があり、我々の味を出すためには現地でタレを作らなければなりませんでした。これは開発担当がとても大変だったと思います。あとは、物件決めるまでが大変でした。
台湾の立ち上げに関しては、他の国に比べてはしやすかったですね。100点満点です。理不尽なことは何もなく、運良く物件も見つかり会社設立から半年以内に1店舗目を出すことが出来ました。
国内に飲食店「やよい軒」、「MKレストラン」、弁当屋「Hotto Motto」を約3000店舗、海外4ヶ国に飲食店「やよい軒」弁当屋「Hotto Motto」など 約130 店舗展開する外食企業プレナスの台湾現地法人。2014年7月に1号店をオープンした。
業種:飲食業 店舗数:1 従業員数:4名
本社所在地:台北市中山區南京東路二段101 號10 楼203 室
お話:齋藤裕剛 総経理(取材当時)
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