業界動向

人口500万の小国シンガポールに、日系飲食店が進出するワケ

2016年10月12日

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ASEAN(東南アジア諸国連合)の中で、特出して経済活動が活発な国であるシンガポール。人口500万人程度の小国ながらも、日本企業を含めた外資系企業がASEAN事業の本部を構えており、多くの駐在員が暮らしています。本コラムでは、海外進出企業へのインタビューと、アンケート、専門家の声をもとに、シンガポールでビジネスを展開する魅力を探ります。

飲食ビジネスにとっての「有望市場」

シンガポールは一人あたりのGDP(国内総生産)が5万ドル以上(日本は4万ドル弱)、平均世帯年収も約800万円と高く、消費活動が活発で、物価の高い国として知られています。一方で、人口自体は少なく、経済の規模はそれほど大きくありません。そのため、市場の規模が重要となる製造業や卸・小売業といった業種での進出は、少ないのが現状です。

一方で、富裕層が一部地域に集まっているシンガポールの特徴から、進出が多い業界があります。それは、商圏(エリア)が限定される飲食業などのサービス業です。オフィス街や高級住宅地に近い地域では、高単価な商品でも売れるため、魅力的な市場と見られています。

このことは、2015年に海外進出した日本企業に対して行った、業種別の進出国割合に関する調査(「Digima~出島~」調べ)からも明らかです。シンガポールは日本の外食企業の進出先として、世界一の経済大国であるアメリカ、経済成長が著しいベトナムに続く、3番目に多い結果となりました。

飲食業の利益率は物価に比例する傾向にあるため、物価が非常に高いシンガポールでは、高単価で提供される和食やラーメンなどの飲食店が繁盛しています。

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出典:『Digima~出島~ 海外進出白書』(2015-2016年版)

シンガポールはASEANのハブ都市

さらに、もう一つ大きな魅力があります。それは、「シンガポールがASEANのハブ都市」となっている点です。物流や交通の要所としてだけではなく、シンガポールの市場が一種の見本市になっています。

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