アンケートでわかった進出のヒント
鷲澤 圭(株式会社Resorz) 2016年06月28日
さて、そうした魅力的な市場となった中国ですが、進出に成功するためのポイントは何でしょうか。
「とんかつ新宿さぼてん」を運営する株式会社グリーンハウスフーズは、2008年に中国企業と合弁会社を立ち上げました。2005年から現地調査を開始し、理念や事業の考え方が近いパートナーと出会うことができたのが、成功のポイントになったそうです。「合弁を組む際は相手企業の考え方などを踏まえ、『本当に一緒にやっていける企業なのか』ということをよく吟味することが大切だと思います」(濱崎邦彦GH集団海外事業本部経理)と述べています。
ここで、海外進出の目的を達成するための「進出国選び」についての調査(「Digima~出島~」提供)も見てみましょう。
出典:『Digima~出島~ 海外進出白書』(2015-2016年版)
「国としての成長性(68%)」「自社商品(サービス)を展開する上での市場の大きさ(44%)」「現地パートナーや知り合いがいた(42%)」の順で回答が多くなりました。中国に関して言えば、国としての成長性は、若干の陰りを見せつつもまだまだ健在と言え、市場の大きさは抜群です。中国が進出先として有望なのは明らかです。
しかし、ここで注目したいのは、「現地パートナーや知り合いがいた(42%)」という選択基準です。海外進出においては、現地の法令や規制など、越えなければいけないハードルが数多くあります。それをクリアするためには、当然ながら現地パートナーの力が必要になります。そのため、選択基準として優良な現地パートナーの有無が重要になっていると考えられます。裏返せば、国としての成長性は抜群だけれども、良い現地パートナーが見つからないことが進出失敗の大きな要因になるということです。
こうした課題を解決するために、海外にネットワークを広く築いていこうとする海外進出支援事業者が増えています。海外のバイヤーと繋がることの出来るサービスや製造委託先を見つけるサービス、定年退職後などのシニアを活用する顧問派遣サービスなどを提供する企業なども増加しており、注目を集めています。
これから中国でビジネスを展開する場合は、まず自分たちの販路開拓先になりうるかどうかを市場調査・現地視察などを行ない、検討してください。その上で、信頼できるパートナーが発掘できた時こそ進出の時、と考えるべきです。
非常に魅力的な中国市場への進出を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社Resorzのメディア事業編集長。同社が運営する海外進出・海外ビジネス支援サイト「Digima~出島~」の記事執筆から編集、運営までを担当する。大学卒業後、株式会社PHP研究所にてビジネス本の編集に携わる。日本企業の海外進出に興味を持ち、海外進出支援事業を行う株式会社Resorzへ入社した。
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