企業インタビュー
2016年06月17日
ファッションやカルチャーの発信基地として、また街のアイコンとしても若者から親しまれている株式会社パルコ様。日本で培ったテナントビル運営のノウハウを活かし、1995年から海外でも事業を展開しています。2016年の秋には、新たにシンガポールで日本食レストランゾーンを開業する予定です。新規事業の概要とその狙い、さらには今のシンガポールの日本食事情について、海外事業部部長・宇都宮誠樹氏にお伺いしました。
【Q】これまでの海外展開の実績を教えてください
弊社の海外進出の第一歩は、1995年にシンガポールで開業した「パルコ ブギス ジャンクション」です。ショッピングモールとホテル、オフィスで構成された大型の商業施設でした。その後も、2006年に「セントラル」、2010年に「パルコ マリーナベイ」と商業施設の開業・運営を手がけました。今回は「パルコ マリーナベイ」で好評だった日本食レストランゾーンの「itadakimasu(イタダキマス)」を、新たに展開します。
【Q】新しい「itadakimasu」を展開するのは、どのような地域なのでしょう?
シンガポールの金融街であるラッフルズ地区に隣接する、タンジョンパーガーという地域です。オフィス街ではありますが、周辺がミドルアッパー層の居住区になっており、人の流れが多い場所ですね。昼、夜、平日、休日を問わず、来客が見込める場所に展開しようと考えていましたので、最適な立地だと思います。
今回「itadakimasu」を展開するのは、同地域で唯一の商業施設「100AM(ハンドレッド・エム)」というビルです。スーパー、レストラン、美容、ジムなどが集まっています。そのビルの3階の約1,300㎡に、飲食店6店舗の出店を予定しています。
平日は近隣オフィスで働く方を中心に、土日は周辺エリアのファミリーを中心にご利用いただくことを想定しています。もちろん、観光客やシンガポール在住の日本人にも来店いただきたいですね。
【Q】「itadakimasu」のコンセプトを教えてください
海外事業部部長・宇都宮誠樹氏
「毎日選べる日本の味」がコンセプトです。“毎日”は日常使いできる価格帯であること、“選べる”はメニューが豊富にあることを表現しています。バラエティーのある日本の味を、ミドルアッパー層に向けて提供したいと考えています。
「itadakimasu」は、今後もシンガポール及びASEAN各国の商業施設で、展開する予定です。日本の飲食店の海外進出をお手伝いできればと考えています。
【Q】シンガポールの外食事情を教えてください
2010年頃から日本食ブームが起こっており、日本食についてはかなり深く理解しています。例えば、居酒屋の「食べながら飲む」というスタイルは日本独特の文化ですが、すでにシンガポールにも浸透しており、楽しみ方を知っている方が多いですね。またコテコテの日本食や装飾は、「リアルな日本ではない」ということも広く知られるようになりました。現地の人たちは、本当の日本食、日本文化を求めています。
それから、シンガポール人はよく外食をします。ジェトロ(日本貿易振興機構)の調べでは、1世帯あたりが1ヶ月に使う外食費は10万円を超えており、日本の3万8千円と比べるとかなり高くなっています。
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