業界動向
ヘレン 2016年03月04日
今回は、日本の地方から台湾に上陸し、台湾人のハートを掴むことに成功したケーキ屋を紹介したいと思います。
行列の絶えない「てつおじさんのチーズケーキ」
先日、台北駅1階の商店街で、行列ができているお店を発見しました。何のお店か気になって見てみると、看板には日本語で『てつおじさんのチーズケーキ』と書いてありました。ぜひ食べてみたいと思いましたが、仕事中で行列に並ぶ時間もないため、その日は購入を諦めました。
ところが数日後、同僚の若い女性が、『てつおじさんのチーズケーキ』の紙袋を持っているのを発見しました。さっそく「そのケーキは、おいしいのですか?」と聞いてみると、「おいしいですよ。母が並んで買ってきてくれました」と笑顔で答えてくれました。
そこまで人気があるのかと思い調べてみると、2011年に日本から台湾に上陸し、今でも行列ができるお店だとわかりました。一番人気のスポンジ状のチーズケーキは、ホールで199元(約800円)とリーズナブルで、他にもロールケーキ、アップルパイなどを扱っています。今では、台北に5店舗、台湾南部の大都市である高雄(たかお)に2店舗を構えています。
お店の目立つ場所にあるメニューは、
すべて日本語で書かれている
しかし、日本では福岡に3店舗あるだけで、東京や大阪などの大都市には店舗がありませんでした。実は、日本の地方の企業が、「首都圏、近畿圏の大都市ではなく、台湾に進出して成功する」というのは珍しいことではありません。同じく九州から上陸したカフェ「九州パンケーキ」や、富山の居酒屋「てば壱」なども、人気を集めています。
地方から大都市に行くには、「不動産賃貸料が高い」「競争が激しい」「知名度が低い」など、どうしてもハードルが高くなってしまいます。ところが台湾では、首都である台北でも、東京と比べて賃貸料が50~70%と安く、かつ、日本ブランドは人気が高いため、注目を浴びやすいのです。「日本のどこから来たのか」は問題ではなく、「日本から来た」ことに意味があります。台湾では、日本という国にブランド価値があるのです。
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東京生まれの日本人。日本で会社員生活を経たのち、台湾人の夫と結婚して、1997年より台湾生活を開始。
子育ての傍ら、日本と台湾に関連するビジネスを起業し、「ビジネスセンター」設立準備にも従事。現在、日本語対応の強みを生かし、台湾における会社設立の相談をはじめ、企業の台湾進出をサポートする。
本コラムでは、16年間に及ぶ台湾生活で経験した台湾の変遷、商習慣、生活情報などを現地目線で紹介予定。
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