企業インタビュー

120年の歴史を持つ醤油メーカー、海外市場開拓へ(Hasamezu Soy Sauce Singapore)

2015年02月10日

三重県の老舗しょうゆメーカー・福岡醤油店様。有形文化遺産にも登録された蔵で、木桶など120年前の創業当時と同じ手法を用いしょうゆ「はさめず醤油」やみそ、ポン酢などを製造しています。海外展開には積極的で、2013年にはハラール認証を取得、14年にはシンガポールに販売拠点Hasamezu Soy Sauce Singaporeを設立しました。同社の川向佐和ダイレクターとLiu Yizong営業担当に、今後の展望についてお話を伺いました。

【Q】シンガポールの拠点での事業内容を教えてください。

Hasamezu Soy Sauce Singaporeでは、三重県で製造した福岡醤油店の製品をシンガポールでの販売および近隣国への販路拡大をしております。また、自社商品以外にも日本の食材も扱っていきたいと思っています。

近隣国へは直販ではなく、現地の商社様に取引していただけるよう、展示会に参加するなどしてアピールしています。福岡醤油店以外の商品では、まずは同じ東海地方の「海外進出したいけど、進出にかけるお金や言語、手間などの面で余裕が無い」という企業様の、製法や原料にこだわった食材を予定しています。企業様と協力して、地元三重県や東海地域の発展に貢献していきたいです。

【Q】シンガポールに拠点を設置した理由を教えて下さい。理由は2つあります。

一つ目は、シンガポールは東南アジア諸国へ売り込むハブになるという立地条件です。マレーシアやインドネシアなど近隣国へ売り込む際は、現地の商社を通じてシンガポールから出荷をします。

もう一つはシンガポールの多民族・多宗教性です。ハラール認証を取得したので、最終的にはイスラム市場にも売り込みたいのですが、最初から消費者のほとんどがイスラム教徒という中東で勝負をするのはリスキーだと感じています。まずはイスラム教徒以外の宗教の方もいらっしゃるシンガポールで売り出し、イスラム教徒の方へのアプローチ方法を学びたいと思います。また、シンガポールは多民族国家ですので、どのような民族の方に弊社商品が受け入れられるかを調査し、次の進出先を考える材料にしていきたいと考えています。

【Q】御社製品の強みを教えて下さい。

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現地スーパーの店頭に並ぶはさめず醤油

原材料にこだわりをもち、120年前の創業当時とおなじ製法を貫いていることですね。大豆は国産の丸大豆、ゆずは徳島産を使用し、化学調味料などは使っていません。熟成期間も通常は数ヶ月のところ4年もかけています。塩分濃度は他社に比べ4-6%低いのですが旨味成分はしっかりしており、味に深みがある製品だと自負しております。

【Q】御社の強みに対する、シンガポールの消費者や事業者の反応はいかがでしょうか?

シンガポール拠点設立前から、現地の高級レストランのシェフなどから品質や味を認めて頂いておりました。化学調味料不使用という点などから、健康食品関係やオーガニック食材を扱う方からも注目されています。ただ、食品卸さんに対しては、販売価格が日本のナショナルブランドしょうゆの約2倍にもなってしまう点、まだあまり知名度が高く無いという点から、苦戦しています。

高付加価値市場でしょうゆの競合はおらず、市場を作り出すところからやっていかなければなりません。販売価格については、物流費用などを工夫してできるだけ売値を下げてく予定です。

【Q】日本企業へのメッセージをお願いします。

外食さんの場合は、現地の文化や味の好みなどを理解し、その国に合うようにしていかないといけません。進出する前に、自分の商品がどのくらい受け入れられるかの調査は不可欠です。海外進出にはリスクがつきものなのでそこも受け入れる覚悟が必要ですし、逆にリスクが見えなかったら成功もないと思います。

「海外進出したい」という話をしていると、いろんなところから展示会に出展しないかというお誘いがたくさんきます。しかし、かたっぱしから参加していると、要領が悪くなってします。人材、予算、時間が限られている以上、難しいです。効率よく進めていけるよう、選択と集中が必要かなと思います。

福岡醤油店

1895年創業の三重県の老舗しょうゆメーカー・福岡醤油店の海外法人。2014年4月に設立し、シンガポールを中心にアジアでの販路拡大を目指している。

企業名:Hasamezu Soy Sauce SingaporePte Ltd
日本本社名:株式会社 福岡醤油店  業種:食品商社  従業員数:2人
現地事務所所在地:137 Telok Ayer Street #05-07 Singapore 068602
お話:川向佐和ダイレクター、Liu Yizong営業担当

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