業界動向

シンガポール人の食生活に欠かせないフードコート

加藤ゆき  2015年01月21日

シンガポールには、飲食店の屋台や店舗が集まった、フードコートやホーカーセンターが無数に存在します。

中華料理、マレー料理、インド料理、デザート、飲み物など、さまざまな種類の専門屋台があり、値段もS$3~5(270円~450円)と経済的で、かつ提供までの時間が早いのが魅力です。日本食も幅広い層に人気があるため、うどんやサバ定食等を提供するお店もありますが、通常若干高めに設定されています。

フードコートは、人が集まる街角やショッピングモール内にあり、通常はエアコンが効いているので涼しく、屋内にあるので雨が降っても問題ありません。

一方、ホーカーセンターはHDBと呼ばれる住宅団地や工業地帯、ビジネスエリアなど人が集まる場所には必ずと言っていいほど設けられていますが、エアコンの設備はないため、少し蒸し暑いと思うかもしれません。屋根はありますが、屋外にあるため雨が降ると不便な場合もあります。

シンガポールの定番料理「チキンライス」

代表的な料理は、チキンライス(茹でた「白鶏」か蒸し焼きにした「焼鶏」とライス)、ラクサ(ココナッツミルクをベースにしたスープ麺)、ホッケンミー(中国福建省由来のエビ入り焼きそば)がありますが、南国ならではのトロピカルジュースも人気です。

マンゴージュースなど南国ならではのトロピカルフルーツやビートルート、アボカド等の野菜の中から、選んだフルーツをすぐにジュースにしてくれます。

また、さとうきびジュースやココナッツジュースがお手軽に飲めます。しぼりたてのさとうきびジュースや割ったばかりのココナッツも、南国の気温だからこそ、よりおいしいと感じられます。

フルーツジュースの屋台

シンガポールは湿気が高い南国の気候のため、衛生面で心配する方もいらっしゃると思いますが、シンガポール政府は衛生面の点では非常に厳しく、環境庁(NEA: National Environment Agency)が屋台の衛生チェックを行っています。

A/B/C/Dいずれかのグレードを店舗(屋台)毎につけていき、問題があればマイナスポイントをつける方式です。過去のマイナスポイントが基準を超えると、営業停止あるいは営業取り消しになります。個人的にも今までフードコート、ホーカーで買った食べ物や飲み物で問題になったことはありません。

衛生面では心配はないと思いますが、フードコートやホーカーで提供される料理は辛いもの、油気が強いものが多いので、健康管理の面では注意が必要だと思います。

安い値段で美味しいものが手に入るフードコートやホーカーセンターですが、特に混雑するランチの時間帯は席を取るだけでもなかなか大変です。相席になることもあります。ほとんどの場合は、席をまず確保してから食べたいものを注文しに行くのですが、バックやジャケットのようなものを置いて席をキープするローカルはいません。

シンガポールでは、席を確保する際にテーブルか椅子の上にポケットティッシュを置いておく習慣があります。ただのティッシュと思うかもしれませんが、ポケットティッシュを置いておくだけで席を離れて戻ってきた時に誰かが座っている、なんてことはありません。なかなか日本では見慣れない席とりの習慣に、最初はとても驚きました。

三食全てを外食することも少なくないシンガポール人にとって、持ち帰りにも対応してくれるホーカーズは「おふくろの味」とも呼ばれるくらい、生活する上で欠かせない存在です。また、手軽な外食文化が発達したことにより、女性が働きやすい環境がシンガポールに根付いた一因にもなりました。

執筆者プロフィール

加藤ゆき 

2009年まで日本・秋田県の国際教養大学に在籍し、アメリカを中心にカナダ、メキシコなどの北米地域の文化・経済・政治などについて学ぶ。
大学卒業後の一年間は、日系企業に勤務するも、海外で活躍の場を広げたいと、2010年より今後の経済発展の可能性を感じたシンガポールへ渡航。2013年からは、オザックス株式会社にて経理・総務・営業事務など、幅広い業務を担当している。
また、2014年度中にシンガポール人と結婚し、シンガポールに永住予定。今後は日本人の視点から、シンガポール独自の食事情や文化について紹介する。

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