企業インタビュー
2014年11月28日
今回は、マレーシアの5つ星ホテル、シェラトン・インペリアル・クアラルンプール・ホテルの日本食レストラン槇島(Makishima Japanese Restaurant)に話を伺いました。マレーシアでの日本食の評価は?苦労した点は?オーナーの恵島良太郎様のお話です。
【Q】事業内容を教えて下さい。
シェラトン・インペリアル・クアラルンプール・ホテルの2Fで「Makishima Japanese Restaurant」という日本食レストランを運営しております。もともと、クアラルンプールの日本人街モントキアラで20年以上前から営業していたのですが、ホテル側から出店依頼があり、移転しました。私自身は、飲食業のほか、クアラルンプールのKLセントラルでレンタルオフィスを経営しております。マレーシアに進出する日系企業に対して、法人設立支援・法務サービスを提供しています。
【Q】お客さんについて教えてください。
比率で言うと、移転前から通って頂いている方もおり、日本人が3割を占めます。現地マレーシア以外の外国人が2~3割、それ以外がマレーシアの方です。ムスリムの方は全体の1割くらいです。個室をたくさん用意しておりますので、お金を持っているムスリムの方が隠れてちょっとお酒を飲もうかな、というときにも利用されています。また、日本人の方は食べたいものをシンプルに注文しますが、ローカルの方は見栄を張って高いものから注文していく傾向があるように感じます。
【Q】メニューづくりで工夫した点がありましたら教えて下さい。
分かりやすい日本食であるお寿司、鉄板、天ぷらをメインにしていることと、豚を禁忌とするムスリム(イスラム教徒)向けにノーポークメニューとベジタリアンメニューを用意している点です。あとは昼と夜で価格を工夫している点ですね。夜の客単価は200~300リンギットマレーシア(RM、約6,800円~10,300円)ですが、昼には8RM(約280円)のうどんなども提供しています。
【Q】店舗運営にあたり最も苦労した点はなんでしょうか?
一番苦労した点は、日本人スタッフのマネジメントですね。例えば日本人スタッフがお店と家の行き来だけをする生活を続けていれば、マレーシアの社会との接点ができづらくなり、生活に疲れが出てきてしまいます。ご家族と帯同の場合は、ご家族の意向もあって、半年くらいで帰りたくなってしまうケースが多いです。
また給与の支払い方法の問題もあります。現地通貨で払うのですが、為替レートによって日本円で考えると給与が下がっていることになってしまいます。この部分は初めに伝えておいても、後々もめる可能性があります。
【Q】マレーシア進出を考えている方にメッセージをお願いします。
まだ過当競争になっていない市場であり、情報が少ない分、競合も少ないです。生活する場としてはASEANの中で群を抜いています。
来て肌で感じないとわからないことがあります。例えば、マレーシアの平均地価はASEANの中では上位だと思いますが、超一等立地以外でもビジネスになるので、かえってマニラやジャカルタよりも安くお店が出店できたりします。10年スパンでビジネスをできるかというビジネス感覚も大切だと思います
【Q】スタッフについて教えて下さい。
刺し身メニューの一例
キッチンが7人、ホールが5人でやっています。シェフは日本人が2人おり、それ以外はマレーシア人のシェフです。お寿司の職人は日本人よりもよく働くように思います。日本のシェフに教えてもらえることや日本人に料理を出せるということに誇りを持っているようで、とても意識が高いです。日本に来たことがある人は1人もおらず、マレーシアの日本料理屋で働いて修行を積んでいるという感じです。
【Q】現地では日本食がどのように評価されていると感じますか?
日本食の評価はとても高いように感じます。特に、お金を持っている人はお寿司の店を好まれる傾向がありますね。また、マレーシアでは飲食店を経営しているということは非常にステータスが高いです。僕は色々やっていますが、知り合いの社長に誰かを紹介されるときは「和食レストランのオーナーだ」と最初に紹介されますね。
飲食店向け覆面モニターサイトなどを運営する株式会社ROIのマレーシア法人。マレーシアに進出する日系企業に対して、レンタルオフィス提供・法人設立支援・法務サービスや、駐在者に対して生活支援をしている。また、日本国内での飲食店経営の実績を活かし、「Makishima Japanese Restaurant」を運営している。
運営会社名:M&M ARC SDN,BHD.
本社所在地:A-32 Menara NU,203 Jalan Tun Sambanthan,50470 Kuala Lumpur
店舗数:1 店舗従業員数:12名 業種:IT、飲食、レンタルオフィス
取材担当者:恵島良太郎 代表取締役
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