海外食生活レポート

データからみるベトナムの朝食事情とは?

山崎督(株式会社朝日広告社 国際部)  2014年11月11日

ホーチミンの朝は外食で始まる

今回はベトナムの食文化について、マーケティングの視点から重要と思われるポイントを抽出しています。
タイ、インドネシア、ベトナム、インドの朝食の習慣をデータで見ると、ベトナムに大きな特徴があることがわかります。ベトナムでは約半数(49.5%)が朝食を外で食べています。タイも52.1%と高いのですが、タイは全般的に外食の傾向が強く昼食、夕食ともに50%を超えています。一方、ベトナムは昼食、夕食は10%前後であるのに対し、朝食のみ突出して高い数字となっています。

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社会階層別(SEC)で見ても違いは少ないのですが、年齢別で見ると30代が56%、40代で55%と比率が高まります。
ベトナムの朝食の習慣は長年培われたもので、短絡的に要因を指摘する事は簡単ではありません。要因の一部は朝の活動開始時間がベトナム社会全体で早く、調理している余裕がない事が上げられます。参考までに、ベトナムで「朝食を食べない」を見ると、いずれの年齢層でも5%未満です。
※当調査はホーチミンのみで実施しましたので、ハノイ等の他エリアについての調査分析は行っておりせん。

他国を見るとインドネシア、インドでは90%以上が「朝食は自宅で作って食べる」と答えており、各国間で大きく異なる傾向があることを認識できます。

朝食の食堂の風景

朝、お店を出す準備をしている様子

では、ベトナムでは実際にどのような場所で朝食を食べているのかを簡単にご紹介しましょう。ここではホーチミンの様子を写真でご案内します。
ホーチミンには写真左にあるように、通りの至る所に簡単な食堂があります。常設の店もありますが、多くは朝食や昼食時に店を開くスタイルです。またベトナムと言えば日本でもフォーが有名ですが、現地では朝食として多く食されています。老舗のフォー専門店は平日の朝8時台には、ほぼ満席です。ベトナムでは相当数がこのようなスタイルで朝食を食べているのです。

もし、朝食に関連する商材でベトナムでの展開を検討するのであれば、マーケティング戦略上、このライフスタイルは十分に留意する必要があります。

ベトナムの朝食、人気ベスト3

さて、ご参考までにベトナムで人気の朝食ベスト3をお伝えします。

第1位 フォー

日本でも有名なベトナム料理「フォー」。朝食の定番。

ベトナムといえば、やはり「フォー」です。世界で一番有名なベトナム料理ですが、現地では基本的に朝に食べるものです。ライスヌードルの一種で、ハーブの香りと牛肉の旨味が詰まったさっぱりスープともちもちした麺の食感が朝食にピッタリです。
ちなみに鶏肉入りのものはフォー・ガー。レア牛肉入りのものはフォー・ボー・タイといいます。
人気の店は早朝から営業し、昼前には麺がなくなり営業終了という店もあるようです。

第2位 バインミー

テイクアウトが多いサンドイッチ「バインミー」

フランス植民地時代の名残なのか、ベトナムにはパンを食べる文化が根付いています。なかでも朝食で人気なのが「バインミー」といわれるバゲット風サンドイッチです。
屋台ではパパっと、その場で具をはさんでくれるので、すぐに食べることができます。具は盛り沢山で、代表的なものは、ハム、レバーペースト、ミートボール、目玉焼き、にんじん、大根のなます、きゅうり、コリアンダー、赤唐辛子などです。そこにヌックマム(タイのナンプラーのようなベトナム特有の魚醤)をふりかけて完成。このヌックマムの風味が、具とバゲットによく合います。
朝から元気に働くベトナム人は、屋台でテイクアウトして職場へ向かうようです。出勤バイクがバインミーのテイクアウトに行列を作っていることもしばしばです。

第3位 バインコット

ベトナム風たこやき「バインコット」

上記2つに比べると、知名度は少し落ちますが、ベトナム風たこ焼き「バインコット」もベトナムの朝には欠かせません。穴が沢山空いた専用のフライ機に米粉を水で溶いたものを流し入れ、エビやねぎやニラを具として入れます。火が通ったら野菜で巻いて、ヌックマムで作ったつけダレをつけて食べます。油を使って揚げているのですが、驚くほどさっぱりとした味わいで、朝食にもピッタリです。食堂でひっきりなしに焼かれているので、テイクアウト可能なお店もあります。
生エビではなく炒めたエビを使うなど、地方によって微妙な違いがあるようです。

路面に面した食堂・屋台がやっぱり強い

日本ではコンビニで朝食を済ませてしまう、という方も多いかもしれません。もちろんベトナムにもコンビニが普及してきているのですが、やはり朝食で強いのは、路面に面した食堂・屋台となります。
日本との大きな違いとしては、6時頃から食堂や屋台が開き始めることがあるでしょう。そのため、ベトナムでは「コンビニの朝早くからやっている」というメリットがあまり響かないのかもしれません。先にご紹介したとおり、路面に面した食堂・屋台は通勤・通学前の人々が席を埋めています。
※余談ですが、ベトナムにはシエスタ(昼寝)の文化もあります。朝が早いからでしょうね。

執筆者プロフィール

山崎督(株式会社朝日広告社 国際部) 

矢野経済研究所、グレイワールドワイド(米国系広告会社)、DDBジャパン(米国系広告会社)、アサツーDKなどを経て、2005年より朝日広告社にてマーケティングディレクターを担当。2011年より国際部 部長を務める。
調査と独自取材に基づき、ベトナムの食生活について執筆する。

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