業界動向

シンガポールのカフェ文化(シンガポール)

加藤ゆき  2014年08月21日

かつてイギリス領だったシンガポールは、イギリス文化の名残があり、アフタヌーンティーでもよく知られています。一年中熱い気候の中で過ごすシンガポールの人達にとって、気軽にお茶を楽しめる場所があることはとても重要です。シンガポールにも、スターバックスやザ・コーヒービーン&ティーリーフのような世界チェーンのコーヒーショップはありますが、今回はシンガポールに定着しているローカルのカフェとそのスタイルについて紹介したいと思います。ローカルカフェは、日本の喫茶店のメニューとは内容も価格も全く異なります。

シンガポール定番のカフェメニュー

シンガポールでは、コーヒーのことをコピと言い、ティーのことをテと言いますが、コピやテと同時にオーダーする代表的な軽食は、カヤトーストと温泉卵です。このセットがシンガポールではいわゆる定番のカフェメニューだと思います。ちなみに、ほとんどの食事を外食で済ませることが多いシンガポールでは、このセットが朝食になることも多いようです。

コピとは、コーヒーにたっぷりの砂糖とコンデンスミルクが入ったもので、とても甘く濃厚です。そして、カヤトーストとは、ココナッツミルク、卵、砂糖、そしてパンダンリーフと言う東南アジアのハーブからなるシンガポール独特のペーストを、バターかマーガリンを塗ったパンで挟んだ薄いトーストのことを言います。温泉卵は大抵2つ付き、シンガポール人はブラックペッパーと、たまり醤油のようなほのかな甘さがある中国醤油のタレをかけて食べます。コーヒーは、ブラックやミルク無しもオーダーできますが、ブラックコーヒーはコピー・オー・コソン(Kopi-O-kosong)と呼ばれ、ミルク無し、砂糖入りコーヒーは、コピー・オー(kopi-O)と言って注文します。これらのユニークな名前はマレー語が由来です。

シンガポールを散策すれば、どこでも見かけるコピティアム(Kopitiam)と呼ばれるコーヒー売場では、ブラックコーヒーと言って注文すると、逆に通じにくい場合があります。また、テイクアウトの場合は、持ち運びに便利な赤テープをカップにつけてくれたり、飲み物をポリ袋に入れてくれたりします。日本では見かけない持ち帰りのパッケージデザインですが、片手でカップを持ち歩くより便利です。ちなみにコピ1杯の価格は、その場で飲んでも、持ち帰りにしても100円程度です。

リーズナブルな料金設定

ショッピングセンターや駅の近くには、コーヒー、紅茶とトーストメニューを展開するローカルカフェのチェーン店があり、「ヤ・クン・カヤトースト」、「トーストボックス」と「コーヒー&ロースト」などが有名です。そのトーストメニューは豊富で、ピーナッツバター、バター&練乳、オタ(魚のすり身とスパイスを混ぜたもの)やフロス(桜でんぶの魚の代わりに肉を使ったもの)、イワシをチリで炒めた具材などさまざまな種類のトーストを取り揃えています。どちらのチェーン店でもコーヒーか紅茶と温泉卵2つのセットで、5シンガポールドル前後(400円程度)です。日本では、カフェと聞くと、パフェやケーキなどの甘い軽食をイメージするかもしれませんが、ローカルチェーンのカフェでは、チキンカレー麺、ラクサ(ココナッツ風味にツルツルした食感の米麺が入ったカレー麺)等も軽食として親しまれています。

近年外国人の数もぐっと増え、それに比例するかのように、西洋系のカフェやベーカリーも増えてきました。ただ、シンガポールの現地人は、リーズナブルな価格と、気軽さ、親しみやすさに魅かれ、ローカルカフェを利用している人が多いと感じます。

執筆者プロフィール

加藤ゆき 

2009年まで日本・秋田県の国際教養大学に在籍し、アメリカを中心にカナダ、メキシコなどの北米地域の文化・経済・政治などについて学ぶ。
大学卒業後の一年間は、日系企業に勤務するも、海外で活躍の場を広げたいと、2010年より今後の経済発展の可能性を感じたシンガポールへ渡航。2013年からは、オザックス株式会社にて経理・総務・営業事務など、幅広い業務を担当している。
また、2014年度中にシンガポール人と結婚し、シンガポールに永住予定。今後は日本人の視点から、シンガポール独自の食事情や文化について紹介する。

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