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多民族国家インドネシアの食習慣とは?(インドネシア)

Andi(アンディ)  2014年04月22日

はじめまして。インドネシアの食・生活レポートを担当させていただくことになりました、Andi(アンディ)と申します。ジャカルタで暮らし始めて11年 の日本人(男性)です。インドネシアの「食」に関して、これまで自分が経験してきたことや感じたことを、書かせていただきたいと思います。さて、第一回目 の今回は、インドネシアの食文化の3つの特徴についてご紹介します。

「食のモザイク」インドネシア

インドネシアでは一般的に食べられる
「Soto Buntut(ソトブントゥット)」

インドネシアは1万以上の島々で構成され、300の民族が暮らし、400とも500とも言われる言葉が話されている多民族国家です。そのため「多様性の中の統一」を国是に掲げますが、「食」のバラエティも負けてはいません。辛さが特徴のパダン料理、ちょっと甘いジャワ料理、生野菜が出てくるスンダ料理・・・「インドネシア料理」なるものは厳密には存在せず、各民族に起源を持つ料理を総称しているとも言えるのです。

また、それらの料理は安易に融合せず、しっかりとそれぞれの個性を主張しているのに加え、ジャカルタなどの大都市では一級品から「なんちゃって」のレベルまで、外国料理の選択肢も数多くあります。我らが「和食」の存在感も、この10年で飛躍的に増したと言えるでしょう。インドネシアは、まさに「食のモザイク」なのです。

日本との共通点は米食文化

そんなインドネシアですが、根底でしっかりと共通しているのが米食文化です。パン食も急速に普及していますが、インドネシア人達のパワーの源はやっぱり米。マクドナルドでも、白いご飯が売られています。

朝から一緒にいてパンや麺をしっかり食べていたはずのインドネシア人が、夕方に差し掛かると「やっぱり今日は米(ナシ)を食べてないから力が出ない」。ちょっと前まで、日本人もそんな言い方をしていたような気がします。

定番のあいさつは「スダマカン(ごはん食べた)?」

屋台も根強い人気

もうひとつ、食に関連して民族や老若男女に共通していることがあります。それは定番のあいさつ、「スダマカン?」です。共通語(インドネシア語)で「もうご飯食べた?」という意味ですが、これはほんとうによく掛けられる言葉です。

中華圏にもある言い方ですが、インドネシア人にもしっかりと食べることこそが健康の基本という考え方があります。十数年前、製造工場に勤務していたころ、朝製造ラインの定位置に付いたインドネシア人のオペレーターが、貧血を起こして倒れたことがありました。連日残業を強いていたわけでもなく、聞けばその月は入用で出費が嵩み、食事を減らしているとのことでした。

そんな彼女達にとって、この「スダマカン?」というあいさつには、真剣に相手の健康や生活のリズムを気遣う気持ちが込められていたに違いありません。その後急速な経済発展を続け、三食食べることが当たり前になりつつあっても、この言葉には変わらない暖かさを感じます。

さて、初回ということでほんのさわりでご容赦いただきまして、次回からはインドネシア人達の生活に密着した「食」のあれこれについて、思いつくままに書き起こしたいと思います。

執筆者プロフィール

Andi(アンディ) 

インドネシアのジャカルタで生活しはじめて11年めとなる日本人男性。日本とインドネシアの食文化・生活習慣の違いを、独自の視点からレポートする。

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