世界でたたかう外食企業

シンガポールの「焼き鳥居酒屋」が見た現地の味の好み(ダイニングイノベーション~シンガポール)

2014年05月07日

今回は、実際に飲食事業をされているダイニングイノベーション様に話を伺いました。「焼き鳥居酒屋」スタイルの店舗は、シンガポール人に受け入れられるのでしょうか? 飲食店の進出も多い一方、撤退も多いというこの国で事業を継続するには、どのような工夫が必要なのか、語っていただきました。

【Q】御社の事業について教えてください。

焼肉、焼き鳥、ラーメン、そば、うどんといった日本の国民食をメインにした飲食店を国内外で展開しています。弊社のミッションは「日本の外食文化を更に高い次元に進化させ、それを海外に伝えること」。国内で「今までにない新しい価値」「革新的な体験」を加えた新業態を生み出し、それらの海外展開を目指しています。

【Q】海外事業について教えてください。

海外店舗はシンガポールで「やきとり家すみれ」を1店舗、香港で焼肉店2店舗、ラーメン1店舗、上海でラーメン店1店を展開しています。今年夏にはロンドンにも進出します。
シンガポールの店舗はフラッグシップ店舗として出店し、東南アジアでのブランド確立を目標にしています。今後はマーケットを見極めながらインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイなどに広げていきます。

【Q】店舗を運営される中で、予想と違った点があれば教えてください。

「焼き鳥居酒屋」というテイストで売っても、シンガポールの方からは総合的な日本食レストランと認識されるという点ですね。当初は日本の「やきとり家すみれ」のように、焼き鳥メインのメニュー構成にしていましたが、多くのシンガポール人のお客様から「メニューが少ない」という声を頂きました。

今ではお客様のニーズにこたえ、刺身やうどん、そばなど日本の直営店よりも多くのメニューを提供しています。人種も好みも多種多様なので、日本人のお客様が美味しいと感じて頂けるものは勿論ですが、ある程度様々な嗜好に合わせてメニューを構成しています。

【Q】シンガポールではどんなメニューが人気ですか?

日本の「すみれ」ではレバーが一番人気ですが、シンガポールでは鳥の内臓を焼いて食べる習慣がなく、もも・手羽などの精肉メニューとつくねが圧倒的に人気です。シンガポールの方は辛い・甘い・酸っぱいなどはっきりした味を好まれる傾向があり、塩分は日本よりも控えめが合うと感じています。弊店でも、こってりしたもの、辛口などしっかり味がついた料理が好まれる傾向にあります。

食事の出数構成は、串が4割、ご飯ものが2割、その他2割、ドリンク2割程度です。

【Q】日本との食習慣の違いについて教えてください。

飲み物に対する考え方が違いますね。シンガポールで8割を占める華人の方は、「冷たい飲み物はお腹に良くない」「お酒と食事はわけて楽しむ」という習慣をお持ちです。日本のように「最初の一杯」という習慣がなく、「飲み放題」も日本ほど目にしません。また、シンガポールのお客様は日本よりSNSを活発に利用しており、料理でもユニークなもの、驚きのあるものを見て楽しんでSNSで発信するという傾向が強いです。そのため、料理のプレゼンテーションも大事ですね。

【Q】食材の調達について教えてください。

食材の仕入れはほとんど現地調達ですが、タレ・塩だれ・チキンスープは日本から輸入しています。その他調味料関係は、日系のサプライヤーさんにお世話になっています。
日本のサプライヤーさんと比べると、シンガポールのローカルのサプライヤーさんは梱包や配送時間、返品ルールなどが雑かもしれません。ただ営業に支障をきたすレベルではありません。

【Q】人材確保について教えてください。

雇用に関してシンガポール政府による様々な規制があり、採用は容易ではありません。

但し、スタッフの紹介による採用や労働環境整備、キャリアアップの仕組みなどは採用及びスタッフの定着率向上のうえで重要だと感じています。教育においては、上下関係・Yes・Noが日本よりもはっきりしているので何がやりたいのか、何をやって欲しいのかを明確に伝えることを意識しています。

また様々な人種・言語のスタッフが同じ店で働くので、お互いのコミュニケーションも店舗運営を円滑に進めるためには欠かせません。一度きちんと目的や手順を理解すればリーダーとしての役割を担える人材が育っていくと思います。

【Q】シンガポール進出を検討している日本企業へのメッセージやアドバイスをお願いします。

日本でも飲食店のシンガポール進出の話をよく耳にすると思いますが、実際は撤退する企業さんも多いです。モールのテナントの入れ替わりが激しく、常に緊張感をもってブラッシュアップし続けないと継続的に発展させていくことは容易ではないと思います。

日本よりも高単価での販売が期待できる分、フロアコストも上がっているので、コストも高いことを認識しておく必要があると思います。
ただ、日本の外食のサービス精神などは現地では新鮮なものとして受け入れられている実感があります。今後、商品・サービス・雰囲気づくりに力を注いでいきたいと考えています。

ダイニングイノベーション・シンガポール

ラーメンや焼き鳥、そばなど日本食をメインに、「日本の外食文化を更に高い次元に進化させ、それを海外に伝えること」をモットーに、国内と海外で事業を展開。2017年までに海外76店舗体制を目指している。

企業名 (英語表記) :Dining Innovation Singapore Pte ltd
シンガポール本社所在地:No 8 Purvis st. #03-01 Singapore 188587
日本事務所所在地:東京都港区西麻布3-17-11 バルビゾン60 3F
業種:外食 店舗数:51店舗 シンガポール1店舗
従業員数 :28名 (シンガポール)
取材担当者様氏名:松藤慎一朗Managing Director

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