企業インタビュー

日本の農業をタイへ!農産品流通の新たなる挑戦(オテントタイランド~タイ)

2013年11月19日

日本の農業ビジネス活性化の取組みの一つとして、2007年にタイへの進出を果たした、農産物の卸企業であるオテントタイランド様。日本輸出用のバナナやマンゴーの生産や、タイ国内の量販店、日本料理店向けの野菜の販売をされています。今回はタイで日本野菜を栽培されるにあたっての苦労や、日本の農業の海外進出が抱える課題と可能性についてお話をお聞きしました。

【Q】タイでの具体的な事業概要をお教えください。

自社農園は保有していませんが、タイ人の契約農家が栽培した農産物をタイ国内と日本へ販売しています。また、タイのお客様からニーズのある日本産農産物も、日本から輸入し販売しています。その他に、農産物の開発や、農産品管理技術を応用した農園管理指導業務を、現地の生産者に向けて行っています。

【Q】海外進出を決められた理由をお聞かせください。

弊社の本社にあたる、日本の農事組合法人「和郷園」では、農業ビジネス強化の一貫として、収穫された農産物を冷凍やカットなどの加工をし、付加価値をつけ提供したり、農産物を使用したメニューを提供するレストランの経営を行うなどの農業の六次産業化を進めています。しかし、六次産業化以外にも農業ビジネスの可能性を広げようと思い、農業の経営手段のひとつとして海外進出には大きな意味もあるので決意しました。

【Q】なぜ進出国として、タイを選択されたのですか?

日本の農業技術を海外に発信するうえで、さらなる発展が期待できるのはアジア諸国だと考えていました。とくにその中でも、農業大国であるタイに拠点を置き、タイで年々需要が拡大している量販店、日本食を提供する外食企業をメインターゲットとすることにしました。

【Q】タイで農業を開始するにあたっての苦労はありましたか?

タイ国内のマーケットにおいて、日本式の農業をそのまま導入してもタイ人顧客の心を掴む事は出来ません。販売については今でも試行錯誤が続いています。栽培面においても、日本が適地適作栽培に対して、タイ国では高温多湿環境での付加価値品栽培になるので、栽培環境と整える作業工程が日本とまったく異なります。

【Q】気候など、日本とは栽培条件も異なると思いますが、どのようにクリアされてきたのですか?

基本的な日本野菜の栽培技術というのは、本社の和郷園から共有してもらっています。それにプラスして、タイ現地の契約生産者から野菜作りの経験や知識を教えてもらいながら、日本とタイの双方の栽培方法を融合させ栽培していくことにしました。

例えば、タイの暑い気温では栽培しづらい低い気温が適した野菜については、タイ国内でも涼しいとされる標高の高い地域で栽培するようにしています。ちょっとした工夫でも、野菜作りにとって重要な気候に関することなどは、手をぬくことはありません。

【Q】現在栽培されている農作物はどういったものがございますか?

20131119_2

果物と野菜のセット

農産物ごとに契約した指定農家がいますが、主にバナナや、ナムドックマイという非常に甘くやわらかいとされる品種のマンゴーを日本への輸出用に栽培しています。

その他にも、高品質(高糖度)のトマトや、辛味が特徴的なだいこん、ごぼう、キャベツ、白菜などを取り扱っています。また、日本料理に利用される野菜を多く取り扱っていることもあり、タイ国内の量販店、日本料理店をメインに販売しています。

【Q】タイ人の生産者へ栽培指導するにあたり、注意されている点はありますか?

栽培をしているのは、契約をしているタイ人の農家さんですが、弊社には農産物を栽培する農家さんにアドバイスを与える栽培指導者というスタッフを雇用しています。弊社から行ってもらいたい管理方法や栽培技術を伝えたい時は、栽培指導者を通じて生産者へ伝えてもらうことで、言語の問題も解消し、契約生産社とじっくり話合いをしながら栽培できるようになりました。

【Q】日本の農業技術は世界から注目をあびていますが、実際にタイに進出されてみていかがですか?

20131119_4

お話をお伺いした真崎様

日本同様に、タイでも農産物の安心・安全面について、以前より重要視され始めてきました。弊社でも農産物の安全性については、本社である和郷園が日本JGAP協会とともに取り組んできた経験値を元に、ノウハウを応用してもらっています。また、それとは別に、タイにはタイオリジナルの農産物の生産・販売ルールがあります。そのため、その双方の取組みを学びながら、弊社でできることをひとつひとつ実践しています。

また、日本の生産技術というのは、匠の技とも言われほど、非常に繊細な栽培技術があります。もちろん、タイの生産者にもそういった技術を求めている部分もありますが、日本のルールをおしつけるのでなく、タイの生産者の意見も聞き、相談したうえで栽培方法を決めていっています。

【Q】生活者としてタイでの暮らしはいかがですか?

私がこちらタイに住み始めてから約10年になります。基本的には同じアジア人で、信仰している宗教も仏教ということで馴染みやすいですし、親日の国なので変な緊張感はなく楽しく生活できますよ。また、最近では日本人も多くなってきているので、タイで知り合う日本人のコミュニティなどにも参加すると、より充実するように感じますね。

OTENTO(THAILAND)CO.,LTD

日本の農業ビジネスの最先端をいく農事組合法人「和郷園」のグループ会社。2007年3月にバンコクで設立.安心・安全でおいしい農産物を、タイにも届けたいという思いの元、タイの契約農家から仕入れた日本野菜の販売や、日本から輸入した日本の農産物の販売を行っている。

本社所在地:177/5 Soi Phromphong, Sukumvit 39, Klongton Nua, Wattana, Bangkok 10110
業種:生鮮卸 店舗数:1店舗
従業員数:24人(2013年10月17日時点) 取材担当者様:代表取締役社長 真崎健治様

企業インタビュー  バックナンバー

関連タグ





メルマガ登録はこちら