企業インタビュー

働く中国人の胃袋をつかむグリーンハウスの中国事業(グリーンハウス~中国)

2014年01月28日

日本の大手給食会社グリーンハウス様。2008年から中国で給食事業を展開し、現在は約70箇所で給食を提供しています。中国の産業給食事情は?どんなメニューが人気なのか?働く中国人の胃袋をつかんだメニューと、現地での取り組みについて、現地法人の日本株式会社緑厨北京代表処様にお話を伺いました。

【Q】日本での事業と、中国での事業内容を教えてください。

日本では、官公庁やオフィス、工場、学校、病院やシルバー施設などへのコントラクトフードサービス(委託契約給食事業)や弁当デリバリーサービス、グループで「とんかつ新宿さぼてん」などのレストランやデリカテッセンの経営、ホテル運営などを手がけております。現在、約2,500の店舗を展開させていただいています。

中国では、北京、天津、無錫、広州、大連にてオフィスビルや工場など約70箇所で産業給食サービスを提供しています。グループの海外事業では、中国のほか、シンガポールやカナダ、タイ等で「とんかつ新宿さぼてん」を運営しております。コントラクトフードサービスの海外展開は中国だけでなく、昨年ベトナムでも現地企業と合弁会社を設立しました。

【Q】北京会社(合弁企業)設立までの経緯を教えてください。

2005年に現地調査を開始し、運よく理念や事業の考え方が近いパートナーと出会え1年近くの交渉の末、08年に合弁会社「北京振达緑厨餐饮管理有限公司」を立ち上げました。合弁を組む際は相手企業の考え方などを踏まえ、「本当に一緒にやっていける企業なのか」ということをよく吟味することが大切だと思います。

【Q】北京会社の役割分担はどのようにされているのでしょうか?

中国側が運営全般を実施し、我々日本側は経営指導や管理、ノウハウを提供していく、という形になっています。

具体的には、日本食を含めた料理の品質やお客様への対応方法、安全安心を中心とした食材選定のノウハウや衛生管理体制についての指導等を実施しています。

【Q】メニューはどのようなものを提供しているのでしょうか?どんなメニューが好まれますか?

日本食メニューの一例。からあげや煮物が充実

「定食」「丼もの」「麺類」「小皿料理」や、日替わりや週替わりのメニューを提供しております。から揚げに煮物のセット、日本風カレーといった日本食メニューもあります。各企業様のご要望や従業員数などに応じて変化を付けています。

中国の方はコメや麺など主食への訴求が高いですね。また、骨付き肉など日本の食堂ではあまり人気がないメニューも、中国の方には好まれています。

単価は、オフィスの食堂で15~20元(260~350円)、工場だと10~15元(170~260円)ぐらいです。

【Q】スタッフ管理、店舗運営で苦労された部分などはありますか?

当然ですが、中国は文化も違えば仕事の進め方も違います。例えば報告書の作成の仕方ひとつ取っても、日本であれば当然あるべき段取りが抜けたりし、簡単なはずのやりとりがスムーズに進まないこともあります。そういう部分は根気よく繰り返して教えていくしかないのですが、かなり苦労する部分だと思います。

また、味を安定させることも難しいところです。日本的な味を指導するのですが、日本人の指導者がいなくなってしばらくすると中国式にアレンジされ味が変わってしまうということがあります。いかに調理師に正しい味や調理工程を覚えてもらうかも、課題のひとつです。

【Q】御社は日中の調理師間で技術交流を行なっているとのことですが、具体的にどのようなことをされていますか?

日本で腕を振るう中国人調理師

一つ目は、中国の従業員教育の一環である「外国食調理講習会」です。日本の調理師を中国に連れてきて、中国人調理師に日本食を始めとした外国料理の調理方法を指導するものです。ハンバーグ丼や豚骨ラーメンなどの調理法を伝え、各食堂でのメニューに活かしてもらっています。

二つ目は、「中国ゲストシェフイベント」です。中国の営業所の調理師を日本に招待し、日本の食堂で中国本場料理を提供してもらうものです。日本にいけるのは、全事業所の料理コンテストで選抜された調理師なので、調理師の士気を高めることになりますし、日本の食堂のお客様に非常に好評です。そこから話が広がり、中国に進出されているお客様から「中国の事業所でもぜひ給食をお願いしたい」とお話をいただくこともあります。

こういった形で、本当の日本食が中国に根付いたり、逆に本当の中国料理が日本に普及したりすることに貢献できると良いな、と考えております。

【Q】中国の給食業界の特徴は何かございますか?日本と違う点などを教えてください。

日本では、効率化の流れで従業員向け食堂運営を専門業者に委託するという企業が多いのですが、中国の場合はまだまだ自社直営でやっているところが多いです。食事というものを従業員への福利厚生として考えるという意識がまだ低く、全体として日本ほどの水準に達していないように感じます。しかし、中央企業(中央政府の管理監督を受ける国有企業)など先進的な運営管理を取り入れようという企業も多く、これから食堂の外注化が進むだろうと思います。そこに我々が入るチャンスもあると考えています。

【Q】中国で仕事をするにあたって感じる良い点、悪い点を教えてください。

日本でもよく報道されているみたいですが空気の悪さはちょっと気になりますね。

事業では、従業員の定着率が低いことは課題の一つです。日本のように長く一つの会社にいるという考え方が中国に浸透しておらず、どんどん会社を変えてキャリアを積んでいくというのが中国の考え方ですので、雇用する側としては苦労しています。

良い点は、エネルギッシュなところですね。中国の方からはとても勢いを感じます。人々から「何かをやろう、こういうことをやろう」というエネルギーを強く感じますね。

株式会社グリーンハウス

昭和22年創業、東京を拠点に全国で事業所給食(コントラクトサービス)やグループのとんかつ新宿さぼてん等外食を運営委する株式会社グリーンハウス中国給食事業会社です。2008年から中国で会社を設立して、現在北京、天津、無錫、広州、大連にて産業給食事業を展開。オフィスビルや工場にて約70店舗の食事を提供しています。

企業名(中国語):日本株式会社緑厨北京代表処
業種:給食業
本社所在地:東京都新宿区西新宿3丁目20番2号東京オペラシティタワー17階
中国国内店舗数:約70店舗 中国国内従業員数:約1,300名
取材担当者様:GH社長直轄 GH集団海外事業本部経理 兼中国事務所首席代表 濱崎邦彦様、GH社長直轄 GH集団海外事業本部経理 舟木俊様、海外事業本部海外管理部中国事務所所長 黄玉平様(取材当時)

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