業界動向

原材料高騰で価格改定相次ぐ。食品メーカーの値上げ動向と原材料高騰対策

2022年05月30日

原材料高騰で価格改定相次ぐ。食品メーカーの値上げ動向と原材料高騰対策

円安や原油高が急速に進み、原材料の高騰が続いている。この問題は食品業界にも影響が大きく、食品メーカーによる商品価格の値上げが敢行されているのが現状だ。

資源の多くを輸入に依存している日本では、企業が価格高騰を回避することは難しく、その分のコストアップをカバーする取り組みが求められている。今回は、食品メーカーが取り組む原材料の高騰対策について解説していく。

原材料の高騰は食品の価格に影響

食品の原材料は年々高騰し続けている。主に世界的な人口増加による需要増や原油高、地球温暖化による干ばつ、天候不順による穀物相場の上昇などが理由だ。さらに原油価格の高騰による物流コストの上昇、円安による輸入コストの増大、コロナ禍による生産体制の縮小、ロシア・ウクライナ情勢の影響など、様々な要因が挙げられる。

原材料の高騰は、消費者向けの小売商品や事業者向けの業務用商品に、値上げの形で影響が及んでいる。小売商品価格では小麦粉や食用油(なたね油)の上昇が特に目立っている。

業務用商品では原料メーカーの価格改定が目立つ。一例として以下を挙げる。

企業業務用商品の価格改定
日本水産 2022年2月1日お取引先様着荷分より
業務用冷凍食品(179品)約1~13% 値上げ
昭和産業 2022年3月1日納品分より
業務用冷凍食品・家庭用冷凍食品約 5%~15%値上げ

2022年4月1日納品分より
業務用コーンスターチ製品15円/kg値上げ
業務用でん粉糖化製品(異性化糖・水あめ・ぶどう糖)10円/kg値上げ

2022年6月20日(月)納品分より
粉価改定額(25Kg詰め1袋当たり、消費税含まず)
強力粉・準強力粉370円/袋値上げ
中力粉・薄力粉325円/袋値上げ
内麦100%粉(一部銘柄を除く)385円/袋値上げ

2022年7月1日納品分より
2.対象商品、及び改定価格(家庭用・業務用商品)
汎用油(菜種油・大豆油・コーン油・パーム油等)60円/㎏以上 値上げ
オリーブ油160円/㎏以上 値上げ
こめ油90円/㎏以上 値上げ
ひまわり油90円/㎏以上 値上げ
東洋水産 2022年4月1日(金)納品分より
業務用冷凍うどん、冷凍そば、冷凍ラーメン、冷凍焼そば、 冷凍スパゲッティ、天ぷら類、他 3%~14%
味の素 2022年6月1日納品分より
「味の素(R)(S)」「ハイミー(R)」等の業務用うま味調味料(全6品種)
業務用「パルスイート(R)」「パルスイート(R) カロリーゼロ」(全5品種)
全体で出荷価格約2〜13%値上げ
ヱスビー食品 2022年6月1日(水)納品分より
業務用香辛料 製品(124品目)平均9.3% 値上げ
業務用フレーク・ルウ製品(40品目)平均7.8 %値上げ
業務用レトルト製品(48品目)平均5.7 %値上げ
ロッテ 2022年6月1日(水)出荷分より
業務用アイスクリーム(79品)約5.1%~19.4% 値上げ
日東富士製粉 2022年6月20日(月) 納品分より
業務用小麦粉
強力・準強力小麦粉 370 円 値上げ/25kg 当り
中力・薄力小麦粉 325 円 値上げ/25kg 当り
内麦 100%小麦粉 385 円 値上げ/25kg 当り
ニップン 2022年6月20日(月)納品分より
業務用強力系小麦粉 370 円/25kg 当り 値上げ
業務用中力系・薄力系小麦粉 320 円/25kg 当り 値上げ
業務用国内産小麦 100%小麦粉 385 円/25kg 当り 値上げ
極洋 2022年7月1日納品分より
業務用冷凍食品 約300品
現行の出荷価格から5~20% 値上げ
日清オイリオ 2022年7月1日納品分より
業務用食用油、加工用食用油バルク 15%~30%
ハウス食品 2022年8月15日納品分より
業務用製品298品
(ルウ、フレーク、香辛料、香辛調味料、レトルト、デザート、ドリンク、ケアフード 等)
出荷価格(税別)平均7% 値上げ

 

商品の商品値上げについては2021年秋頃から大手食品メーカーからの発表が増え、他社も追随する形となっている。では値上げせざるを得ない状況下で、食品メーカーはどのような対策を講じているのか。改めて原材料の高騰対策を見ていこう。

食品メーカーの原材料高騰対策

原材料の高騰で生産コストが高くなる分、食品メーカーは様々な面でのコスト削減や省人化対策が必要になる。もちろん商品の値上げも視野に入れなければならないが、会社経営における出費を抑え業務の効率化を図れば、その分価格も維持しやすくなる。

調達コストを削減

価格が上昇した原材料を利用し続ければ、いずれは商品を値上げしなければならない事態に陥るだろう。そうした事態を防ぐには、より安価に仕入れられる取引先の厳選や、生産者との直接取引などで調達コストを削減する方法が挙げられる。

また仕入れロットの大型化により、単価を安く仕入れるのもひとつの手段だ。だが増えた発注数量を消費し切れないと、ロスに繋がってしまう恐れもある。他社との共同仕入れを行うなどで、適切な数量を維持しながら調達コストを抑える施策も検討するべきだ。

商品のリニューアル

食品の値上げは、短期的にみると販売数量が落ちることは避けられない。そこで消費者の購買意欲を維持するために、価格据え置きで商品をリニューアルするという方法も挙げられる。一例として、

・原材料の品目を変更
・商品パッケージの簡易化
・内容量の縮小

などだ。とはいえ内容量の縮小は、少なからず消費者満足度のダウンに繋がりかねない。そのため原材料の種類や内容量などを見直し、より良い改善を行った上で販売することが重要と言える。

また、お弁当などの複数の食材が入ったものであれば、主食はそのままに主菜や副菜のバリエーションを変更することで価格を維持しやすくなる。商品パッケージを簡易包装に変更したり、テープ止め不要な容器に変えたりしてコストを抑えることなども可能だ。

仕入れ量の管理と食品ロスの削減

原材料や製品の管理方法を改善することで、廃棄になってしまう食材を抑えられる。食品ロスを削減できれば、その分の利益で価格の高騰を吸収しやすくなるはずだ。

食品ロス削減をするために、基本的には食材の消費期限をしっかり把握し、過剰在庫を減らすことが必要となる。より適切な在庫管理を行うには、システムの導入がおすすめだ。他にも、賞味期限の延長や年月表示への変更、規格外品を活用した加工食品の生産などが挙げられる。 食品メーカーの詳しいフードロス対策については、以下の記事を参照してほしい。

参考:食品・飲料メーカーが食品ロス対策するメリットと成功事例~消費期限表示・端材の再利用など

従業員の生産性向上もコスト削減の手段

原材料や製品のコスト削減には限界があり、取り扱う食材によって実施できる対策も異なる。そこで仕入れ以外の人件費の削減や適切な人材リソースの活用が重要になる。

特に食品業界では、事務作業や取引先への対応が電話・FAXといったアナログな仕組みであることも多い。そうした課題を解決するためには、業務の無駄やムラを省くITツールを活用するなどして、生産や管理に携わる従業員の生産性向上をするのもひとつの手だろう。例えば製造ラインの機械化、商品規格書の管理や経理業務などなどIT化して手作業を減らすことで、人件費を抑えるなどが挙げられる。

原材料の高騰はコロナ禍以前から上昇傾向にあり、今後も続くと見られている。食品メーカーは引き続き物流や製造面でのコスト削減、業務の効率化などで原材料のコストアップを吸収する施策が求められる。


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