食品卸売業経営ノウハウ

食品卸・流通業の慢性的な人手不足の実態と労働改善対策

2022年04月08日

食品卸・流通業の慢性的な人手不足の実態と労働改善対策

食品卸・流通業の人手不足の原因

食品卸売業は、メーカーや生産者から商品を受け取り、飲食店やスーパーなどの小売店へ配送する中間的な位置を担っている。食品の物流において、荷物を運ぶドライバーは欠かせない存在だ。

しかし日本国内では、人口減少や少子高齢化などの影響もあり、深刻なトラックドライバー不足となっている。国土交通省の資料では、令和3年の貨物自動車運転手の有効求人倍率が1.88となっている。全職業の平均0.94よりも2倍ほど高く、2件の求人に対して1人しか応募されず、募集をかけても人が集まりにくい状況だ。

参考:国土交通省「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」

またトラックドライバーが不足しているのは、低賃金や長時間労働といった労働環境の厳しさも要因として挙げられる。労働時間を見ると、ドライバーの年間労働時間は2,484〜2,532時間で、全産業の平均2,100時間を大きく上回っている。また、年間所得額は419〜454万円と、全産業の487万円よりも低い。

加えて2007年から施行された新免許制度の導入による影響も大きく、以降の普通免許では車両総重量3.5トン未満に限定された。一部の2トンや4トントラックを運転するためには、準中型免許を取得する必要がある。こうしたハードルの高さや労働条件により、新たな人材の採用が難しくなっている。

◇食品流通の課題
中でも食品流通業の運送ドライバー不足は、以前から続いている課題だ。食品卸の悩みや懸念事項を洗い出し、対策を探っていこう。

▼食品卸売業界の全体的な労働力の不足
食品卸売業において人手が足りていない職種の割合をみると、「営業や販売」59%、「流通や運搬に関する作業」36.8%、「商品生産(単純作業)」35.4%となっている。

参考:農林水産省「卸売業・小売業における働き方の現状と課題について(PDF)」(平成30年2月21日)

また総務・経理・人事の部門においては、小売業よりも食品卸売業の方が雇用不足と回答している割合が高いのもポイントだ。これは食品卸売業において女性労働者の就労割合が全産業の平均よりも少なく、食品卸売業に応募する人材の幅が狭まっていることも懸念事項として挙げられる。

▼長時間労働による従業員の負担
従業員1人あたりの労働時間が長くなることも、人材や労働力不足の原因になる。飲食料品卸売業の労働時間は、毎月183時間だ。これは特に勤務時間が長い食料品製造や小売業の184時間と比べても、ほぼ変わらない状態だ。

毎月の労働時間(時間/月)

食品卸・流通業の慢性的な人手不足の実態と労働改善対策

ニュースなどでも過労による問題が取り上げられているように、長時間労働は従業員の健康を脅かす大きな要因となっている。令和2年度の「過労死等の労災補償状況」では、「運輸業・郵便業」の158件に続き、「卸売業・小売業」が111件と2番目に多い。

参考:厚生労働省「令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」令和3年6月23日(水)

限られた人員で業務を回して従業員の過労を防ぐためには、勤務時間を早出や遅出に分けた2交代制の導入、有給休暇の取得日数を定めるなどの環境整備も必要になってくるだろう。

▼設備投資が不十分
食品関連の卸売業は、全産業と比べて労働装備率が低い。労働装備率とは、従業員1人あたりの設備投資額のことを指しており、この数値が低いと一般的に企業の設備投資があまり進んでいないことに繋がる。

労働装備率(万円/人)

食品卸・流通業の慢性的な人手不足の実態と労働改善対策

特に食品卸では、伝票や見積書によるアナログな事務作業を行っている企業も少なくない。現在では倉庫管理や在庫データ、受発注業務を遂行するような管理システムなども豊富にあるため、業務のムダを省くITツールの導入を検討してもよいだろう。

食品卸・流通業の人手不足対策

食品卸や流通業で慢性的な人手不足を補うには、無駄な作業を省き業務の効率化を図るといった省人化が求められる。その第一歩として、初期費用や導入コストの低いITツールについて紹介する。日々の業務負担に課題を感じている人は、参考にしてみてほしい。

社内におけるデータ共有の簡素化

社内で取り扱う顧客情報や取引内容などのデータは、会社に設置してあるPCから基幹システムへアクセスするのが一般的である。しかし複数の拠点がある場合、一度エクセルなどでデータを処理することや、紙で管理している状況では外勤の従業員は情報確認に事務担当へ電話する必要が出てくることもある。

この対処法として、モバイルに対応したクラウド型の基幹システムを導入することで、スマホから顧客情報や取引内容をスムーズに閲覧でき、上記のような二度手間を削減することが可能だ。

自社内にサーバーを設置して専用回線を引く形態だと、導入費は数百万以上で技術者の常駐も必要だが、クラウド型サービスは導入コストが月額数千円〜と安い傾向にある。サーバーの維持費や人員リソースなども他の分野に回しやすくなるだろう。

在庫管理、伝票発行、売上集計などの自動化

食品卸売業はメーカーや生産者からの仕入れや、飲食店や小売店への納品などで、多くの在庫・取引データを取り扱っている。小規模であれば手書きでの伝票や見積書などの管理でも対応できるかもしれないが、取り扱う商品や取引先が増えると事務作業に掛かる時間や手間も増大する。

在庫管理や販売管理システムであれば、複雑化してしまいがちなデータを一元管理できる。販売実績や売上データの算出や棚卸しの在庫計算などもやりやすくなるだろう。

また蓄積したデータから分析を行い、曜日や月毎の売上傾向や、商品毎の取引量の増減などのリアルタイムなデータの可視化も可能だ。これまで人力で行っていた事務作業の省人化に繋がり、抽出したデータも今後の経営判断や販売戦略の立案に活用できるなどのメリットがある。

チラシなど販促ツール作成の簡略化

売上アップのためには、新たな販売ルートを確立する、既存の取引先へ新商品を提案するなどの販路開拓も重要となる。もちろん以前からの訪問やDM郵送、電話による営業は行われているが、人員が限られているため効率的にできるとはいいがたい。そこでLINEなどのアプリを介したデジタルチラシの発信が有効となってくる。

例えば食品卸向けの受発注システム「TANOMU」では、これまで実施していた電話やFAXによる受注業務を減らすことが可能だ。自社の商品登録や取引先からの注文受付、販売実績の確認などを一元管理でき、事務作業の効率化に繋がる。写真付きカタログで取引先への商品提案もできるため、自社の在庫や顧客のニーズに合わせた販促も行いやすい。

また多くの受発注管理システムは、パソコンでの作業を前提としたものが多いが、『TANOMU』ではスマホやタブレットから操作できる点も大きなメリットだ。外出先やちょっとした隙間時間にも操作できることから、事務作業に割く時間も削減しやすくなるだろう。

IT活用による人手不足対策は未来を見据えた設備投資

食品卸売業では、人手不足による影響で残業体質に繋がっていることも多々ある。トラックドライバーなどの確保が難しい職種もあるため、人を増やすという選択肢以外で労働力不足を補える対策が求められてくる。政府も様々な産業でDX化を推進しており、今後ITを活用したサービスの普及が広がっていくことが伺える。

日々の業務で人手不足やアナログな作業に課題を感じる場面があれば、まずは手軽に始められるITツールを検討してみてはいかがだろう。


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