業界動向

食品・飲料メーカーが食品ロス対策するメリットと成功事例~消費期限表示・端材の再利用など

2022年03月18日

食品・飲料メーカーが食品ロス対策するメリットと成功事例~消費期限表示・端材の再利用など

日本ではコンビニやスーパーマーケット、飲食店などで様々な食品が販売されている。その一方で、毎日大量の食品ロスが発生しており、その半数以上は食品メーカーや飲食店などの事業活動によるものだ。食品ロスは、原材料や人件費、廃棄コストの増加など、企業の利益を圧迫する。

このような食品ロスの問題に対し近年、注目度が増している。今回は食品ロスの現状と対策、食品メーカーの取り組み事例などについて解説していく。

食品ロスの現状

食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品をさす。日本では数多くの食品ロスが発生しており、その量は年間570万トン(令和元年推定値)で、国民ひとりあたり毎日124g、茶碗1配分ほどのごはんの量が捨てられていることになる。事業活動で排出されている廃棄量は309万トンで全体の54%を占めており、主な要因として規格外品や返品、食べ残しなどが挙げられる。

農林水産省 「家庭系食品ロス46%と事業系食品ロス54%の割合」(令和元年度)

[参考]農林水産省「食品ロスとは

また、よりよい社会を目指すための国際目標「SDGs」では、食品ロスへの関連性について触れている。特に「つくる責任、つかう責任」の目標には、2030年までに生産やサプライチェーンなどで食料の損失を減少させるとの明記がある。そうした現状もあり、食品ロス対策はメーカーや卸売、飲食店や小売店など食品業界全体で取り組む課題となっている。

食品ロスを削減するメリット

企業が食品ロス対策に取り組むメリットはいくつかある。まずはコストを抑えられる点だ。捨ててしまう分の生産を行わなければ、原材料や人件費などのムダを省くことになる。廃棄する際に掛かる費用も抑えられるため、結果として企業の利益アップに繋がる。

また食品廃棄量を減らすことは、ゴミを焼却する際に発生するCO2の排出を減らすため、環境問題への取り組みとしてもアピールしやすい。SDGsへの取り組みに貢献すれば、企業としての信頼性やイメージも向上させられるだろう。

食品メーカーが実施する食品ロス対策

食品ロスを減らすには、まずは廃棄となった原因を把握し、新たな資源としての活用や店舗での売り切り、賞味期限の再検討など適切な対策を講じることが必要となる。例えば飲食店の場合、過剰在庫にならないような適切な在庫管理をする、徹底して消費期限を把握することなどが重要だ。

その対策として、受発注や在庫管理に向いたシステムの導入、メニューの適量化や保管方法の改善などが挙げられる。では食品メーカーが実施できる対策には、どのような取り組みがあるのだろうか。具体例を見ていこう。

賞味期限の延長と年月表示への変更

賞味期限切れによる食品の廃棄は、消費者の家庭内だけでなく、流通の途中や小売店・飲食店などの現場でも起こりうる。例えば、発注量の見誤りや需要の減少により在庫が余ってしまうケース、何らかの原因で売り先から返品されるケースなどだ。

特に飲食店や小売店などでは需要が変動しやすいため、まったく廃棄を出さずに商品をきっちりと売り切ることはかなり難しい。加えて食品業界には3分の1ルールという慣例があり、賞味期限の3分の1以内で納品できなかったものについては、期限が残っているにも関わらずメーカーに返品・廃棄されてしまうこともある。

そこで少しでも賞味期限を延長できれば、これらのケースにおける食品ロスを抑えやすくなる。具体的には、パッケージの包装や保管方法などの改善で、より長期的に品質を維持する対策だ。

また賞味期限が3ヶ月を超えるものについては「年月」のみの表示も可能である。「年月日」の商品表示を「年月」に変更することで、自社や売り先での在庫管理がしやすくなり、期限切れの廃棄を抑えやすくなるだろう。

[参考]農林水産省「賞味期限の年月表示化

廃棄や規格外の食品を応用した加工品

通常だと廃棄されるパンや果物などを加工品にして販売することで、ムダなく食品を利用するという対策もある。例えば、使い道の少ないパンの耳をビールの原料に使用する、市場に流せない規格外品の野菜や果物などを加工品の原料として使うなどだ。柑橘系の果物を加工したドライフルーツやマーマレード、じゃがいもをコロッケに使用して販売するケースも見受けられる。

規格外品や余剰在庫となった食材を商品として仕入れることで、生産者の利益還元にも繋がるため、取引先との信頼性向上や安定したサプライチェーンを確立できるなどのメリットも多い。こうした手段も、コロナ禍の厳しい情勢を乗り切るポイントとして押さえておきたい。

小売現場で売り切るための工夫

食品を製造して小売店などへ納品しても、その現場で売れ残ってしまうと結局食品ロスになってしまう。小売現場での売り切りを視野に入れた商品の開発や提供なども大切になってくるだろう。

例えば、長期保存しやすい冷凍食品のバリエーションを増加させる方法だ。冷凍食品は、購入した消費者側も好きな時に使える点で廃棄になる心配が少ない。また消費者のライフスタイルにマッチした商品展開も必要である。一人暮らしや核家族など、家庭によって必要となる食品の量は異なるため、量り売りなど、ターゲットに合わせた内容量を検討することが重要だ。

食品メーカーによる取り組み事例

日本の食品ロス量の半分以上が事業由来であることから、食品関連事業者には積極的な対策が求められている。大手食品メーカーではすでに食品ロス対策を行っている企業も多い。

企業取組内容
山崎製パン 生産過程などにおいて発生する廃棄物のほとんどを資源として利用。食品廃棄物を「未利用食品」と呼称し、加工品への再利用、飼料化や肥料化、油脂製品などの様々な用途に活用している。 ・食パンの耳:「ちょいパクラスク」 ・バナナの切れ端:「切れてるバナナパウンドケーキ」 ・ケーキスポンジの切れ端:「りんごのパイケーキ」 その他、JAや生産者団体と連携し、形や見た目がよくない規格外の野菜や果物を菓子パンの一部に使った地産地消製品を開発。
江崎グリコ 徹底した品質・製造管理により賞味期限の延長、品質が劣化しにくい商品については日付を撤廃した年月表示に切り替えた。 「いつの間にか期限が切れていた」という消費者の廃棄を防止するため、期限の長い「カレー職人」や「ビスコ保存缶」などで、賞味期限切れの前にメールでお知らせするサービスを導入。 また、品質には問題ないものの、細かい欠けなどで販売できない製品をアウトレット販売するなど、2050年までに取り組むテーマのひとつとして廃棄物の削減を実施。
ネスレ日本 食品ロス削減サービスを提供する「みなとく」と、小売店などへの納品期限を超過したことで廃棄になる可能性のある商品を無人販売機で展開することで、食品ロスの削減に取り組む。 3分の1ルールなどで納品期限を超過してしまった商品を安い値段で販売するルートとして無人販売機を設置している。
CRUSTJAPAN 日本で多くの量が廃棄されている端材パン(パンの耳など)を活用しクラフトビールを製造。パンの廃棄削減だけでなく、廃棄する際に発生する温室効果ガスを削減し、SDGs目標「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」などへの貢献を目指す。

メーカーならではの対策で食品ロスを削減

食品メーカーの場合、在庫管理に加え製造工程や保存方法の改善といった幅広い観点から対策を打ち出すことが可能だ。もちろん自社だけで実施できる範囲が限られるのであれば、他の企業や自治体などと提携するといった手段を検討するのもよいだろう。

食品ロス対策へ取り組むことで、企業のコスト削減や環境問題への取り組みなどの社会貢献にも繋がる。各企業でできることを探し、積極的に実行してほしい。


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