企業インタビュー
2019年04月05日
大豆をまるごと食べる商品といえば長らく水煮大豆だった大豆製品市場。だがここにきて、大豆の新しい食べ方、「蒸し豆」が、存在感を増している。2019年1月の全国の食品POSデータでは、蒸し豆の購買指数が初めて水煮豆を追い抜いた。
この市場で大手の大豆加工食品メーカーを抑え、売上シェアトップを保つのが株式会社マルヤナギ小倉屋。蒸し豆を業界ではじめて商品化し、新たな市場を生み出した。
おいしい蒸し豆シリーズの代表格
「蒸し大豆」
約600億円ある煮豆市場の中にあって、蒸し豆の市場規模は決して大きくはない。だが、年々拡大成長を続けており、2015年には約20億円前後だった規模が2019年には約30億円を突破し、水煮大豆と逆転すると推定されている。市場を牽引しているのが、佃煮昆布と煮豆を主力に作ってきた老舗食品メーカー、マルヤナギ小倉屋の、『おいしい蒸し豆シリーズ』だ。
2004年の発売以来トップを保ち続け、現在のシェアは約70%(KSP-POS:2019年2月現在)。2位につける大手メーカーと2社で、市場シェアは9割を超えるという。商品企画・マーケティング推進部部長の尾鷲美帆氏は、「蒸し豆は、実は水煮豆の開発から生まれた商品」だと語る。
商品企画・マーケティング推進部 尾鷲部長
「時代のニーズにあわせて、甘い煮豆ではなく、甘さを抑えた豆加工品づくりに取り組むため、水煮大豆の開発をしていました。
しかし煮るという調理方法ではどうしても、うまみや栄養が流出してしまい、味気ない仕上がりになってしまいます。いっそのこと蒸してみたらどうだろう、という発想が、蒸し豆誕生のきっかけです。蒸してみると、狙いどおり、大豆本来の自然のうまみが残り、ホクホクした甘さになりました」
それまで、蒸し豆は豆腐の原材料として作られることはあっても、水煮豆のような、そのまま料理に使う用途での商品は存在しなかった。「蒸せばいい、という単純な話ではなかった」のがその理由だという。
商品として売れるものにするために、蒸すのに適した大豆の品種の選定からはじまった。また、美味しく食べられる加熱の温度や時間といった製法も、一つひとつ試作を重ね、商品化まで半年以上を要した。
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