企業インタビュー
2018年12月11日
業務用と家庭用の冷凍ミートボール(つくね串類・肉だんご類)のトップメーカー、ケイエス冷凍食品株式会社。170~180億円で推移する市場の4割を超えるシェアを保ち、2位以下を大きく引き離す。一番の売れ筋商品である家庭用『国産鶏 鶏つくね串(照焼)』を筆頭に、創業以来、販売数量を増やし続けているという。
良くも悪くも“お弁当のおかず”というイメージの強いミートボールだが、それだけではない。小さな球体は飲食店の一品料理にもなる、大きな可能性を秘めていた。
ケイエス冷凍食品株式会社の設立は1972年(当時の社名はユニチカ三幸株式会社)。東京支店業務用営業部長、野垣内克彦氏によると、創業時は家庭向け冷凍食品として肉だんご、八宝菜、酢豚を製造し、その1年後に業務用を始めたそうだ。
KSミートボール
「当時の業務用の販売先は、ほとんど給食関係でした。産業給食やお弁当といった用途です。記録として残ってはいませんが、市場規模は小さいながら競合はほとんどなく、当時から売上はトップシェアだったと推察されます」
ケイエス冷凍食品のミートボールは大きく『タレ付き』『タレなし』『つくね串』の3種類に分けられる。創業当時はタレ付き肉だんごのみだったが、弁当用に見映えの良い業務用つくね串が開発され、家庭用にも転用されていった。
東京支店業務用営業部長
野垣内克彦氏
「串がささっていると、高級感が出るうえ、手で食べられる便利さもあります。当時は串刺しで照り焼きのタレまでついた完成状態の冷凍製品はなく、画期的な商品でした。やがて他のメーカーが参入し始め、人件費や原材料費の安い海外で製造するようになりますが、弊社は当初より国産原料を使った自社製造にこだわってきました」
1997年、ケイエス冷凍食品は大阪・泉佐野市の自社工場を、国内最大規模のミートボール専門工場に刷新した。それまで作っていたエビチリなどミートボール以外の製品を全国の提携工場に委託し、肉だんごやつくね串などの主力製品の製造に特化させることで、コストダウンを図ったのだ。
「国産であることは安い海外製造品との差別化をはかれますが、かといってあまりに高いと売れません。我々は自社工場をミートボール専門にしたことで製造ラインの変更を容易にさせ、価格を抑えることにつなげました。品質と価格のバランスの良さをお客様に認めていただき、売上を伸ばしていけたのです」
現在、ケイエス冷凍食品の家庭用つくね串は国産の安心感や自然解凍で使える簡便性で、年間30億円を売り上げる主力商品となっている。一方、業務用の主力となっているのがタレ付き、タレなし2本柱で展開する『肉だんご類』だ。
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