食の研究所

長寿にも関連? 日本人の腸内環境は独特だった ~メタゲノム解析に便移植も、注目される細菌たちの働き

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年10月12日

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私たちは毎日さまざまなものを食べているが、その消化や吸収の役割を担うのが「消化管」だ。そして消化管に存在する「腸内細菌」の役割も重要だ。

近年、科学技術の進歩により、腸内細菌の機能の解明が飛躍的に進んでいる。各国の人たちの腸内細菌を網羅的に解析する試験も行われ、日本人の長寿との関連性も示唆されている。消化管や腸内細菌と健康との関わりが一層注目されている。

消化管のある場所は体の“外”

健康なときは、いろいろなものをおいしく食べられるのに、体調がよくないときは、食欲がなかったり、おなかの調子が悪くなったりする。胃や腸など消化管のはたらきと健康は密接な関係にある。

消化管は口から肛門までの食べ物の通り道で、食道から胃、十二指腸、小腸、大腸と消化器がつながっており、全長は9mにもなる。食べ物はこの管を24~72時間かけて通り抜け、小腸で栄養素が吸収されたのち、最後は便になる。

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ヒトの主な消化管

この消化管は体の中を貫いている「1本の管」であり、よく「ちくわの穴」に例えられる。ちくわの穴が外部につながってるように、口と肛門も外につながっている。意外かもしれないが、消化管の中は体の“外”なのだ。

消化管には、食べ物とともに病原菌や有害物が絶えず入ってくる。体を覆う皮膚と同じように、消化管も外からの刺激や細菌の感染を防ぐ仕組みを持っている。中でも腸は「最大の免疫器官」と呼ばれるほど免疫機能が発達しており、腸壁では病原菌や有害物を素早く識別して、排除している。

腸壁の細胞は寿命が短く、わずか1日ほどで剥がれ落ち、新しい細胞に入れ替わる。腸壁の細胞は有害物を排除しつつ、生きていくために必要な栄養素を吸収するという重要な役割を担っているために、常にフレッシュな細胞でなければならないのである。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

<記事提供:食の研究所
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