ヒット商品の舞台裏

喫茶店文化の衰退と運命をともにした「業務用濃縮紅茶」が、再ブレイクした理由~GSブラックティー(ジーエスフード)

2018年06月08日

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重厚感のあるデザインも
業務用を強く意識したからこそ

「当初は喫茶店や旅館・ホテル向けに売り出し、その後クラブやスナック、バーなど夜の店に、お酒を飲まない方向けのソフトドリンクとしても販売していきました。この角ばったボトルも、酒瓶と並べても違和感なく置けることを狙ったデザインです。多少の変遷はありますが、ボトルデザインは発売以来ほとんど変っていません。

ブラックティーは他に競合もなく、弊社の主力商品として作っても作っても追いつかない状態で右肩上がりに売上を伸ばしていきました」 

だが、時代の流れは次第に「作れば売れる」ではなくなっていく。

チェーン系喫茶店の台頭、先細る市場

総務省統計局が公表している「事業所統計調査報告書」によると、国内の喫茶店の店舗数は1981年の約15万4000店をピークに減少し、2000年ごろには10万店を割り込んだ。特にこの頃、個人経営の小規模な喫茶店が姿を消し、代わりにセルフサービスで低価格帯のチェーン系の喫茶店が進出しはじめた。

また、公益財団法人 全国生活衛生営業指導センターの資料によると、バブル崩壊といった景気変動などで、小規模なスナック・バーなども店舗数を減少させ、1990年代の半ば以降は10年間で4万店近くが姿を消している。 

主な販売先だった個人経営の喫茶店、スナックなどが文化と市場を衰退させて行く中、GSブラックティーの運命も共にあった。 

「消費者のニーズの変化もあったと思います。ただ単純に甘ければ美味しいという時代ではなくなってきました。GSブラックティーも1992年には甘さを抑えた低甘味、2005年にはアールグレイとバリエーションを増やしましたが、昔はさほどしっかりしたマーケティング戦略などがあったわけではありません。積極的な商品開発や販路拡大を目指していたわけではなかったので、取引先の減少で必然的に売上もゆるやかに縮小していきました」

GSブラックティーの売上げ数値のピークは2000年。チェーン系喫茶店の台頭と呼応するように徐々に下降線を描きはじめ、10年後には30%減少、そこからは横ばいで、微増微減を繰り返していく状態だった。だが、思いがけない方向から事態が急変する。

業務用として開発・販売されてきたGSブラックティーが、小売で売上を伸ばし始めたのだ。

喫茶店の味が家庭で気軽に楽しめると小売でブレイク

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人気に火がついたのは、コーヒー豆と輸入食材販売で国内約400店舗をもつ小売店での販売がきっかけだ。一般消費者がGSブラックティーを買える小売店は限られる。GSブラックティーは、約10数年前からすでに取り扱っていたという、ロングセラー商品でもある。

かつては当たり前のように味わえていた喫茶店のアイスティーの味は、店と共に町から消えていた。それを家庭で簡単に再現できることに気づいた一般消費者がSNSに投稿し、拡散。昔ながらの味を懐かしむ層に、SNSをきっかけに新たにGSブラックティーを知る層が重なり、売り切れ店が続出したのだ。

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