企業インタビュー
2018年05月08日
2017年初夏、SNS上で「おいしすぎる」と話題になり爆発的なヒットを飛ばした『たらこスプレッド』。この年の年間売上は、前年対比で300%、単月での売上の最高額は前年同月比600%を記録した。現在でもその売上は落ちていないというから、ヒットの理由はネットのクチコミだけではなさそうだ。
開発を担ったマリンフード株式会社の研究部Aチームの川村敏美さんが「大成功例」と語るその舞台裏には、一筋縄ではいかない課題の数々を、一切の妥協なく乗り越えた商品開発があった。
研究部Aチーム 川村敏美氏
たらこスプレッドは、風味づけや味つけをしたマーガリン類のカテゴリに属している。
「現在の主力商品はチーズ製品ですが、弊社のルーツはマーガリン製造・販売にあります。 マーガリン事業の2本柱は、ホテルや給食などで使われる業務用の個食タイプと、社内で“色物”、“フレーバーマーガリン”と呼ぶ、たらこスプレッドのような風味や味を加えた製品です。どちらも国内売上の約7~8割のシェアをもっています。
弊社の色物マーガリンの看板商品は“ガーリックマーガリン”です。発売から25年のベストセラーで、PB商品としても流通しています。こういった、どちらかというと少し特色のある、ニッチなマーガリンを作る企業として市場では認知されています」
色物マーガリンを得意とするメーカーと見込まれ、水産物加工品を扱う企業から「PB商品として、明太子を混ぜたマーガリンを作れないか」と依頼を受けたのが、たらこスプレッド開発のきっかけだった。
「色々あって明太子マーガリンは世に出ることはなく、自社企画として、たらこで商品化を目指すことになりました。明太子よりもたらこの方が、辛くないので子供でも食べやすいなど使用シーンの幅が広く、モニターの評価も良かったためです」
たらこスプレッドの発売は2007年。商品開発には13ヶ月をかけた。これは、企業方針に「スピード」を掲げ、いかに早く効率よく商品化するかを考える同社においては比較的長い期間になるという。長年の色物開発ノウハウをもってしても、たらこは難しい素材だった。
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