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国連援助量の2倍! 食品を捨てる国ニッポン~食べ残しはどこへ行く? 食品リサイクルの現状

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年04月11日

ただし、メタン化の設備を導入するにはコストがかかる。メタン化の残渣である消化液は液肥として利用できるが、農作地の少ない場所では液肥の使い道はあまりないだろう。利用できなければ排水処理をして放流することになり、コストがかかるので、消化液の利用法の検討が求められている。

こうした食品リサイクルにより、2014年の食品関連事業者が排出した食品廃棄物1953万トンのうち、1350万トンは飼料や肥料などにリサイクルされた。おそらく、廃棄された恵方巻も飼料や肥料になっているはずだ。

進んでいない家庭系食品廃棄物のリサイクル

実は食品リサイクルが一番進んでいないのは、一般家庭から出される家庭系廃棄物だ。先の環境省と農水省の公表によれば、2014年の家庭系廃棄物は822万トンあり、そのうち3割以上にあたる282万トンがまだ食べられる食品だった。さらに、再生利用されたのは、わずか55万トンに過ぎず、ほとんどが焼却・埋め立てされている。

家庭系食品廃棄物は、市町村など自治体の取り組みに任されているが、家庭系食品廃棄物は事業系に比べて格段にリサイクルしにくい。一般廃棄物は多くの場所から少しずつ排出され、それぞれの廃棄物の組成も雑多だからだ。

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出されるごみ袋の中には、まだ食べられる食品が含まれているかもしれない。

多くの人が住む地域ではごみの分別を徹底することも難しい。そのため、多くの地域ではそのまま燃えるごみとして回収されている。ただし、市町村によっては、生ごみを分けて出したり、生ごみ処理機やコンポスト容器の斡旋や購入補助制度を実施したりして、肥料化を進めているところもある。

また、廃食用油の集団回収を行い、バイオディーゼルにする市町村もある。京都市は、1997年からバイオディーゼル化事業を始め、今では、回収した廃油を燃料にしたゴミ回収車やバスが走っている。最近では、メタン化を導入する市町村も増えている。

無駄買いしない、食べ残さない、私たちの努力も必要

恵方巻で注目された食品廃棄物の問題だが、家庭系食品廃棄物の3割以上も食品ロスが占めており、リサイクルは進んでいなかった。私たちも努力をしなければ、食品廃棄物の量を減らすことはできないだろう。

日本は世界中からたくさんの食品を輸入し、豊かな食生活を実現しているが、世界では人口が増え続けており、日本がいつまでもこの食生活を続けられるかどうかは分からない。せめて無駄な買いものをしない、食べ残さないなど、私たちの心掛けも必要だ。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
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