食の研究所

人気の「地鶏」、正しい定義を知っていますか?~日本鶏を使って、輸入に頼らない新品種の開発を

佐藤 成美(サイエンスライター)  2018年02月28日

バラエティに富んだ日本鶏たち

大学院生の竹之内惇さんと研究生の宮廻聡介さんの案内で、広島大学にある飼育施設を見学させてもらった。特別天然記念物のオナガドリの尾は、確かに長かった。長いものでは10メートルを超すものもあるという。

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自分の長い尾を見るオナガドリ。日本鶏資源開発プロジェクト研究センターにて。

「長い尾を維持するためには、尾が絡まないよう、飼育に工夫が必要なんですよ」と竹之内さんが説明してくれた。黒や茶、まだらなど羽の色や模様、さらには羽の毛の付き具合も異なるたくさんの種類がいた。比内鶏は毛がふさふさとして愛嬌がある。鶏は白い体に赤いトサカという常識は覆された。

「この鶏は『声良鶏(コエヨシ)』という名前なんです。名前の通り、見事な鳴き声が特徴です」と竹之内さんが続ける。鶏は鳴き声も楽しまれ、コエヨシのほか、澄んだ声で鳴く大型で黒い「蜀鶏(トウマル)」や長く鳴く「東天紅鶏(トウテンコウ)」も見事な鳴き声を披露していた。

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江戸時代中期の画家だった伊藤若冲に
よる「群鶏図」。1757(宝暦7)年ごろ
から1766(明和3)年ごろに描かれた
『動植綵絵』に収録。

トサカの形も、大きいもの、小さいもの、王冠のように広がったものなど多様だ。本来、闘鶏用の「薩摩鶏(サツマ)」の足は鋭く、同じく闘鶏用の軍鶏は首が太く、脚もがっしりしている。

江戸時代の人は、どの鳥とどの鳥を交配すれば、こんな色になるとか、こんな形になるのかを研究していたらしい。都築さんたちもたくさんの鶏から、羽の色など形態に関わる遺伝子を見つけ、交配によって遺伝子の働き方の変化やそれによる色や形の変化を突き止めている。交配の技術で、羽の色やさまざまな特徴を自由にカスタマイズした理想の鶏をつくることも可能だという。

天才絵師として人気のある江戸時代の画家、伊藤若冲の作品には鶏が描かれているものが多い。「群鶏図(ぐんけいず)」には、さまざまな色や形の13羽の鶏が描かれている。「これらの鶏は架空か、実在していたのかという疑問があったのですが、すべて再現できることが分かり、実在していたと結論付けられました」と都築さんは話す。

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

<記事提供:食の研究所
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