食の研究所

味覚地図は昔の話、ここまで分かった味覚の仕組み~うま味受容体で「甘味」を感じるハチドリの謎

佐藤 成実(サイエンスライター)  2018年01月17日

20180117_kenkyujo_0

味覚はおいしさの大きな要因だ。甘い、酸っぱいといった味はどうして感じるのだろう。近年、分子レベルで味覚のメカニズムが明らかになってきた。

「味覚地図」は存在しない

私たちは食べ物を食べると、味を感じる。「おいしい」と感じれば食べ続けるし、「まずい」と感じれば食べるのをやめる。当たり前だと思うかもしれないが、命がけで食べ物を探していた私たちの祖先は、味覚など五感を発達させることで食べてもいいのかどうかを判断してきた。つまり、味覚は生きていくための重要な感覚なのである。

食べ物の味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの「基本味」に分類されている。辛味や渋みも広義では味ではあるが、味を感じる仕組みが異なるため基本味とは異なる。

口の中で食べ物が咀嚼されると、食品の組織が破壊される。それが唾液と混ざると、食品成分中の分子やイオンが溶出する。これらの化学物質(味物質)が舌にある「味蕾」で感知されると味を感じる。

味蕾は、舌表面にあるざらざらした突起のくぼみにたくさん分布し、つぼみのような形をしている。味蕾は舌以外に、軟口蓋や頬の内側にもある。食べ物や飲み物に含まれる化学物質(味物質)を感知すると、電気信号となって脳に伝わり、甘味や酸味、塩味などの味を感じる。

少し前までは、「甘味は舌の先端で」「苦味は舌の奥で」などと、舌の異なる領域で味を感じる「味覚地図」の存在が信じられてきた。これは、1901年に発表された論文がもとになってできた説である。現在では、ひとつの味蕾ですべての基本味を感知するという仕組みが明らかになっている。

執筆者プロフィール

佐藤 成実(サイエンスライター) 

佐藤 成実(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。

<記事提供:食の研究所
JBpress、 現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ 方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
食の研究所はこちらhttp://food.ismedia.jp/

食の研究所 バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ

メルマガ登録はこちら
フーズチャネルコンテンツガイド