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近畿大学直伝! 養殖「泉南アナゴ」が即座に完売~ウナギと比べられてきた魚の過去・未来(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年11月22日

近大の水槽への移送も、昨年より早く6月に実施した。獲れたばかりのアナゴを預けることで、より明確に岡田浦育ちと近大育ちを比較する。アナゴの数も増やした。

味の工夫を図っていく。「アナゴの味はエサに反映されると聞きます。泉南市はウメやミカンの産地。そうしたエサを混ぜて成長させ、ブランド化を図ろうとしています」。これらのエサが味の成分に反映されるか、分析にも出す。

「『泉南アナゴ』の伝統を保ちたい」

泉南アナゴの養殖プロジェクトは軌道に乗りつつあるようにも見える。ただし、このプロジェクトが採用された泉南市の「産官学連携まち・海・里山活性化推進事業」は、2020年度で区切りを迎える。

「それまでには、課題をクリアしていき、ある程度はアナゴの供給量と味の向上を実現させていきたい」と、東氏は抱負を話す。

泉南沖の天然アナゴ減少の一因には海水温上昇があるとされる。魚の育つ環境の変化そのものを改善するのは難しい。状況を見守るだけでは、やがてアナゴ食の伝統は廃れてしまう。

そうした中で、養殖技術が進歩してきた。その力を生かすことで、地元のアナゴ食文化を復活させようとしている。このプロジェクトは、現代における現実的な選択肢と見える。

「アナゴ漁はずっと続いてきました。養殖という形でも『泉南アナゴ』の伝統とブランド力を保っていければと思っています」

地域に根づいた「食」を絶やさず、蘇らせる。多くの人の期待がかかっている。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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