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近畿大学直伝! 養殖「泉南アナゴ」が即座に完売~ウナギと比べられてきた魚の過去・未来(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年11月22日

「地域に根づき、伝統のある『泉南アナゴ』を絶やしてはいけないと考えました」。こう話すのは、漁協青年部部長の東裕史(あずま・ひろし)氏だ。危機意識を漁協メンバーが共有した。では、どうやってこの危機を乗り越えるか。

「近畿大学が養殖の実験・研究を進めていました。我々もどうにかアナゴの養殖ができないかと考えました」

近畿大学といえば、産試験研究所のクロマグロ完全養殖プロジェクトが知られている。だが、クロマグロだけではない。同研究所は2004年より天然資源に頼らないマアナゴの完全養殖実現を目指した養殖研究に着手し、2010年から富山実験場(富山県射水市)で養殖を行っている。

東氏ら漁協のメンバーは、養殖技術を近大から学び、岡田浦でアナゴを養殖し、「泉南アナゴ」として付加価値を付け、地域ブランドの再興や漁業者の収入向上につなげようと考えた。泉南市が、漁協と近大を取り持つなど連携推進や調整を行い、「産学官連携」の体制が整った。

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東裕史(あずま・ひろし)氏。岡田浦漁業協同組合青年部部長。漁協で実際に漁をする組合員62
名を支援。漁協で開催している「地引き網」「体験漁業」「日曜青空朝市」などの企画・運営も行う。

手探りの「第1期」養殖、地域ブランドの第一歩に

プロジェクト開始は2015年12月。「アナゴの稚魚を獲ってきて、水槽で養殖し、出荷用によい頃合いになるまで育てるというのが、目指すべきプロセスです」。

だが、アナゴがどう育つのか、知識をもっているわけではない。そもそもアナゴの生態には謎が多い。マアナゴの産卵場所が沖ノ鳥島南方の海底山脈上と発見されたのも2012年になってからだ。

その点、養殖技術に長けた近大は、獲ってきた稚魚を水槽で出荷サイズまで育てることにすでに成功している。そこで岡田浦漁協の複数人がプロジェクト開始直後の2016年1月、富山実験場に出向いて4日間の住み込みで、大学スタッフから養殖方法を実習した。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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