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近畿大学直伝! 養殖「泉南アナゴ」が即座に完売~ウナギと比べられてきた魚の過去・未来(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年11月22日

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味も体型も特徴的な魚「アナゴ」に光を当てている。

前篇では、日本人がこの食材をどう捉えてきたかを追った。「ウナギに比べると」といった文脈で語られがちなのは、昔も今もそう変わらない。江戸時代の文献には「ウナギより劣る」という主旨の評価も見られた。とはいえ、漁が盛んな地域ではアナゴも貴重な海産物。各地でアナゴの寿司や駅弁などが生まれ、地域ブランドとして発展してきた。

アナゴを獲って食べてきた地域の1つが、大阪府泉南(せんなん)市だ。府内随一のアナゴ漁獲量を誇る時期もあった。だが、2000年代半ばから漁獲量が急減。乱獲や水温上昇などの原因が指摘される。

再び「泉南のアナゴ」で活気を取り戻すべく、岡田浦の漁業者たちは、大学や自治体と連携してプロジェクトを立ち上げた。後篇では、このプロジェクトを紹介し、アナゴ食の未来を考えたい。

近畿大学からアナゴ養殖法を学ぶ

泉南市内の岡田浦漁協には、かつてアナゴ専門の漁業者もいた。アナゴは夜行性のため夕方に船を出す。漁場でイワシなどの餌を入れた篭を沈め、暗くなってから引き上げる。獲れたアナゴは、漁業者が開きなどにして、各市場に出荷した。地元でもアナゴの天ぷらや蒲焼などとして食べられた。こうして「泉南アナゴ」は名を馳せてきた。

ところが、危機が訪れた。かつては年中、獲れていたアナゴが、近年では2〜4月のみに、しかも限られた海域でしか獲れなくなってしまった。2004年に140トンあった漁獲量は、10年後には10分の1まで落ち込んだ。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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