食の研究所

漁獲量が激減! 大阪湾のアナゴの隆盛はどこに?~ウナギと比べられてきた魚の過去・未来(前篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年10月24日

全国各地の浦で栄えたアナゴ料理

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『守貞謾稿』「食類(後巻之一)」に掲載
されている江戸の握り寿司。「アナゴ」は
上から5番目。(所蔵:国立国会図書館)

ウナギほどの価値を認められてこなかったアナゴ。しかし、漁で獲れれば当然、海の幸のひとつとなった。日本各地の漁村では、アナゴ漁が営まれてきた。そして、地域ごとにアナゴの食べ方が成立し、それが「地域ブランド」にもつながっていった。

関東では、江戸前が主要なアナゴ漁場だった。現在でも、千葉県富津市沖や神奈川県横浜市沖の東京湾でアナゴ漁が引き継がれている。

江戸では、アナゴは、誕生して間もない握り寿司のネタのひとつになった。江戸後期に喜田川守貞が著した風俗百科事典『守貞謾稿』では、「江戸、今製は握り鮓なり」として、卵焼き、車海老、海老そぼろ、白魚、まぐろ、こはだとともに「アナゴ甘煮」を寿司ネタとして紹介している。現代のアナゴ握り寿司と形はそう変わらない。

瀬戸内も優良なアナゴ漁場が点在する。

播州高砂(現在の兵庫県高砂市)では「焼きアナゴ」が有名だ。下煮したゴボウをウナギなどで巻く「八幡巻き」も、当地では古くからアナゴで巻いてきたという。また、日生(ひなせ:岡山県備前市)で獲れるアナゴは肉厚で脂ののりがよく、甘みある焼きアナゴが評判となった。

安芸宮島(広島県廿日市市)では、川が流れ込み、栄養に富んだ広島湾で良質のアナゴが獲れた。1901(明治34)年には、山陽鉄道宮嶋駅(現在の山陽本線宮島口駅)で駅弁「あなごめし」が売られはじめた。以降、アナゴを食材にした駅弁は広島県内だけでも、尾道駅、広島駅、徳山駅、小郡駅などで売られるようになった。

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弁当スタイルの「あなごめし」。蒲焼をご飯に盛り付けるスタイルは瀬戸内地方の郷土料理にもなっている。

「泉州のアナゴ」の隆盛と衰退、そして・・・

一方、和泉灘、つまり大阪湾でもアナゴがよく獲れた。とくに泉州(せんしゅう:大阪南部)沖は、食用アナゴの代表的魚種「マアナゴ」の好漁場だ。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
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