業界動向
2017年01月20日
少子高齢化、人口減少による国内市場の縮小と原材料の価格高騰など、厳しさを増す食品業界。食品メーカー・卸の再編をまとめた2015年の記事では、経営の効率化や規模の拡大を目指し、企業の買収・合併(M&A)が起こっていると紹介した。その後もM&Aの動きは続いている。
そこで今回は、2015年11月から2016年12月までのM&Aニュースをまとめ、2017年の見通しとともに解説する。
まずは2016年のM&Aの傾向について、山田ビジネスコンサルティング株式会社の資本戦略本部 M&Aアドバイザリー部副部長の玉虫隆二氏、マネージャーの久保俊一郎氏に話を聞いた。同社は、中堅・中小企業向けに経営支援やM&Aアドバイザリーを行っている。
「2016年の全業界を対象にした日本企業によるM&A件数は、2015年と比べ増加しました。その中で食品業界の件数も微増し、依然活発な動きをしています」(玉虫氏)
ハウス食品グループ本社によるギャバンの完全子会社化や、コカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの統合が決まるなど、大きな動きがあった。特に、海外企業とのM&Aを進める大手企業が目立ったという。
「大手企業は、国内で今以上に市場シェアを広げるのは難しい状況のため、海外市場を目指す動きが活発になっています。その中でも、アサヒグループホールディングスによる、SABMiller社の欧州ビール事業の買収は、合わせて1兆2千億を超える巨大案件でした。
また、全国農業協同組合連合会(JA全農)と農林中央金庫による、英国の食品卸会社SFGホールディングス社の子会社化もありました。買収金額は約10億円と小さいながらも、JAグループが海外の食品卸会社を買収するのは初ということもあり、印象的な案件ですね」(玉虫氏)
代表的な事例も含め、2015年11月以降に発表されたM&Aニュースを一覧にまとめた。
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