ヒット商品の舞台裏

「大阪のぶどう畑を守らなアカン」。口コミで売れる業務用ワイン『たこシャン』~カタシモワインフード

2016年12月15日

カタシモワインフード_高井利洋社長

大阪産デラウェアを使ったスパークリングワイン「たこシャン」が、今、関西の飲食店の間でひっぱりだことなっている。

「たこシャン」は大阪のソウルフードたこ焼きに合う気楽なシャンパンとして、2009年にカタシモワインフードが発売。出荷量は増え続け、現在は年間約3万本。地域のシンボルとして親しまれるようになった。

大阪らしいユニークなアイデア商品が、一時のブームに終わらず売上を伸ばしている理由はどこにあるのか。製造・販売するカタシモワインフード株式会社の代表取締役 高井利洋さんを訪ね、「たこシャン」がいかにして生まれ、愛されてきたかを探った。

地元の景色、デラウェアのぶどう畑を守りたい

たこ焼きに合うシャンパンで「たこシャン」。そのユニークなコンセプトやネーミングに注目が集まりがちだが、それだけではこの商品のヒットの理由は見えてこない。その背景には、大阪のぶどう畑と向き合ってきた、小さなワイナリーの苦悩の歴史がある。

たこシャン(カタシモワインフード)

大阪産デラウェアを使用した
スパークリングワイン「たこシャン」
(業務用250ml・小売用750ml)

大阪府柏原市はぶどう産地として知られ、主力品種のデラウェアは全国3位の収穫量だ。この地にカタシモワインフードは、1914(大正3)年に創業。高井さんはその三代目の長男として生まれ、大学卒業後に神戸の製紙会社へいったん就職するも、1976年、25歳で家業に戻った。

「大阪のぶどう畑は栽培放棄が進み、国産ワイン業界は斜陽化の一途…。大阪府内に約120軒、柏原市に50軒以上あったワイナリーの中で、当時残っていたのはうち一軒だけでした。それでも、子どもの頃から間近にあったぶどう畑の景色を守り、祖父や父、先輩方が苦労して作ってきたワインを、地元の宝としてもう一度輝かせたいと思い、継ぐことにしたのです。『かまどの灰までお前のもんや』と言われて育った長男として、このまま逃げるのは恥やと(笑)」

失敗を通じて強まった、地元大阪へのこだわり

高井さんは、まず風前の灯だったワイン事業の立て直しに着手。当時の商品は一升瓶の赤・白だけだったが、新たにフルボトルとハーフボトルの赤・白・ロゼを販売。ヨーロッパ系の品種栽培にも取り組んだことが功を奏し、少しずつ売上は伸びたものの、ワイン主体の事業展開には至らなかった。

「ワインの売上は、会社全体の1割ほど…。父が苦肉の策で作った冷やしあめや、ぶどうジュースの売上でしのいだのが実情です」

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