業界動向
2016年12月09日
少子高齢化や人口減少で先細りする市場と、ネット通販の台頭の影響で、小売業界は長期的な売上げの減少に苦しんでいる。そんな中、2016年2月にファミリーマートが、サークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(以下、ユニーHD)との経営統合を発表し、9月に統合を完了。また、同年10月には、セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)が、傘下のそごう・西武のそごう神戸店を含む関西3店舗を、エイチ・ツー・オー リテイリング(以下、H2Oリテイリング)に譲渡すると発表した。どちらも新たな再編のきっかけになるのではと世間の関心を集めている。
そこで今回は、食品を扱う主な小売業界-コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店の3つの業界の再編をまとめ、解説する。業界動向に詳しい、ビジネスリサーチ・ジャパン代表の鎌田正文氏に話を聞いた。
まずはここ20年の各業界の売上高を見ていきたい。百貨店業界は1991年の9兆7,130億円を、スーパー業界は1997年の16兆8,635億をピークに減少傾向が続いている。その中でも唯一右肩上がりを続けているのが、コンビニ業界だ。2008年に百貨店の売上高を超えて以降も上昇を続け、2014年度に10兆円を突破。日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、2015年度は10兆4,990億円となった。
スーパー業界は、総販売額が13兆1,842億円(日本チェーンストア協会発表)となり、2年ぶりにプラスに。
一方、百貨店業界の売上高は前年より0.2%減少し、6兆1,724億円となった。日本百貨店協会の発表によると、訪日外国人によるいわゆる「爆買い」の恩恵があった東京、大阪などの主要10都市は1.2%増だったが、主要10都市以外の地方は3.0%減となり、全体では減少だった。
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