食の研究所

障害者が地域農業の担い手、売り上げ拡大の農園も~広がりつつある「農業」と「福祉」の連携(後篇)

白田 茜(フリーランス記者)  2016年10月25日

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障害者が地域農業の担い手、売り上げ拡大の農園も~広がりつつある「農業」と「福祉」の連携(前篇

障害者が地域の農業の担い手に

日本セルプセンターが2014年に実施したアンケート調査(1696事業所のうち回答は832)によると、障害者福祉事業所のうち、「現在農業活動に取り組んでいる」と回答した事業所は33.5%にのぼり、割合は年々増えつつある。

農林水産政策研究所企画広報室長の吉田行郷氏による「農業分野での障害者の働く場の創出に向けた取組とその農業・農村への影響」(全農林労働組合『農村と都市をむすぶ誌』2016年8月号)によると、企業による障害者雇用の一形態である特例子会社でも、近年、農業分野に進出している会社が増加しており、2015年6月1日時点で422社の8%に当たる32社が農業活動を行っている。企業や生活協同組合が障害者施設を立ち上げ、農業に取り組む例も増えてきているという。

ここで疑問を持たれる方もいるかもしれない。「障害者が農業で儲けるのは難しいのでは」と。

日本セルプセンターが2013年に行ったアンケート調査によると、農業活動をしている施設では、年間売上高100万円未満が46.4%と多いが、1000万円以上も10.2%ある。家庭菜園的な取り組みが多いが、中には本格的に収益事業を行っている施設もあることがうかがえる。

収益事業として農業に取り組む施設には、認定農業者となったり、6次産業化を進めたりして、地域の農業の担い手となっているところもある。なお、認定農業者になれば、「スーパーL資金」などの低利融資制度や、担い手を支援するための「基盤整備事業」など様々な支援を受けられるメリットがある。

以下に、農業分野から福祉分野に進出した事例と、福祉分野から農業分野に進出した事例の2つを取り上げてみたい。

事業見直しで収益確保――静岡県「京丸園」

1つ目は、静岡県浜松市にある「京丸園」。農業法人が障害者を雇用し、業務内容を見直すことで収益を上げている事例だ。

静岡県内でも有数の規模を誇る水耕栽培農園で、ミニミツバ、ミニネギ、ミニチンゲンサイなどを1年通じて栽培している。「姫みつば」「姫ねぎ」「姫ちんげん」「京丸トマト」などの自社ブランドも栽培している。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。

<記事提供:食の研究所
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