業界動向
2016年01月22日
テレビ、ネット、雑誌など各メディアで紹介され、消費者の関心が高くなっている食品のお取り寄せ。カタログ通販とネット通販(EC)を合わせた食品通販市場は、2013年に1兆円を突破した。2016年には1.8兆円にまで拡大し、うち8割以上をECが占めると予測されている(※株式会社富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2014-2015」)。
行列のできる人気飲食店のメニュー商品や、地方でしか流通していなかった食品の直販など、爆発的なヒットに結びついているケースも多い中、日の目を見ずに消えていく商品も少なくない。その差は、果たして商品力だけの問題なのか?
今回お話を伺ったのは、年間330万人に利用されている日本最大級のお取り寄せ口コミポータルサイト「おとりよせネット」(運営=アイランド株式会社)の笹田幸利プロデューサー。お取り寄せ市場の現状や人気商品の傾向から、食品メーカーの商品開発や販売促進のヒントを探った。
「おとりよせネット」プロデューサーとして、サイトの全体管理や方向性の策定、企画立案などに携わる笹田氏は、拡大するお取り寄せ市場をどのように捉えているのか。
「おとりよせネット」プロデューサー
笹田幸利氏
「毎年徐々に市場が広がり、右肩上がりが続いています。2015年11月におとりよせネットで実施したアンケートでも、22%のユーザーが、直近3年以内に初めてネットを使ってお取り寄せをした、と回答しています」
「その大きな要因の一つは、流通の進化でしょう。例えばAmazonでは、一部地域に限りますが、注文からお届けまで1時間以内というサービスも実現しています。また生鮮食品や魚介類、パンなど、今まで取り寄せるのが難しかったものも取り寄せられるようになってきています。しかも、おいしい。実際、2015年12月におとりよせネットで発表した『ベストお取り寄せ大賞2015』では、総合大賞に選ばれたのがクロワッサンでした。2年連続です」
ただ、通販という点では、昔からデパートや冠婚葬祭などのカタログ通販も存在した。それらを凌ぐネット通販によるお取り寄せの台頭は、何が原因なのだろうか。
「やはり、スマートフォンの普及が大きいですね。思いついたらその場で注文できるということが、追い風になっていると思います。おとりよせネットでも、60%以上がスマートフォンからのアクセスですし、先ほどのアンケートでもスマートフォンで食品のお取り寄せをされたことがある方は53%に上ります。今後さらに、スマートフォンユーザーに対するアプローチが重要です」
さらに、カタログ通販と比較して、売れ筋や人気商品に変化が現れているという。
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