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食品メーカーの異物混入対策。HACCPだけでは安心できない、工場の現実と課題

白田 茜(フリーランス記者)  2015年09月30日

2014年から異物混入事故がメディアで大きく報じられ、消費者の意識も変わる中、食品メーカーにとって異物混入対策はもはや避けられないものとなってきている。しかし、中小企業にとっては、監視カメラの取り付けや検査機器購入などの新たなコストが発生し、ハードルが高いというのもまた事実だ。そこで、有識者の意見も聞きながら、中小企業が現実的に取り組むことができる異物混入対策について考えてみたい。

異物混入対策の必要性

食品への異物混入が相次いで報道されるなか、異物混入の苦情が増え続けている。国民生活センターによると、「外食・食事宅配」と「食料品」を合わせた食品への相談件数は、2009年度以降の累計で16,094件にのぼる。中でも食料品に関する相談件数は、2012年に1,817件だったのが、2013年度には6,219件に急増し、2014年度には1,656件とまた激減している。2013年度に急増した理由は、冷凍食品への農薬の混入事件に関する相談が3,583件あったためだ。

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出典:独立行政法人国民生活センター ※2014年度は、2015年1月10日までの登録分

近年の主な事例を挙げると、先ほど2013年度に相談が急増した原因であると紹介した、冷凍食品への農薬の異物混入事件がある。冷凍食品から高濃度の農薬が検出され、製品全品を自主回収した。2014年12月にはカップ焼きそばへのゴキブリ混入事故が波紋を呼んだ。本ケースでは、混入していた写真を消費者がツイッターに投稿し、リツイートされて拡散したことが特徴だ。その後、写真は様々なニュースサイトに転載され、大きく報じられることとなった。また、2015年外食産業でも異物混入事故が相次いで発覚している。

カップ焼きそばのケースのように今では消費者によるSNSへの投稿で、問題発生と同時に世の中にオープンになる時代だ。相次ぐ事件・事故で、消費者の反応が変化しており、異物混入が命取りとなる。

フードセーフティとフードディフェンスの違い

では、メーカーはどのような対策を講じればいいのか。食品の安全を確保するためには、フードセーフティとフードディフェンス両方の取り組みが必要だ。

フードセーフティ(Food Safety)とは「意図的でない異物混入を防止する取り組み」のこと。食品の製造や供給プロセス全てで食品安全を確保するために、品質管理体制の見直しや従業員教育、必要に応じてHACCPやISO22000などの食品安全マネジメントシステムを導入することも考えられる。

フードディフェンス(Food Defense)は「食品への意図的な異物の混入を防止する取り組み」のこと。2008年に発生した中国冷凍餃子事件をきっかけにフードディフェンスの必要性が論じられるようになった。フードディフェンスの例としては、製造施設への外部からの進入禁止、入場者に対するセキュリティ強化、カメラの設置、製品外部からの異物混入を防ぐための包装の変更や流通形態の見直し、従業員とのコミュニケーション強化など、外部と内部からの攻撃に対して備えることが必要となる。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をした後、現在は小売や食品関連の記事を書いている。
関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション、マーケティング。

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