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6月に値上げを控える小麦。国産需要拡大に活路~春の値上げラッシュ、主要食品まとめと今後の見通し(後編)

白田 茜(フリーランス記者)  2015年04月27日

前編で取り上げたとおり、食品関連の値上げが相次いでいる。今回は値上げの理由に迫りつつ、2015年6月から値上げされる小麦についてクローズアップする。

輸入物価指数が4年で30%上昇

まず、各メーカーが発表した資料を元に、今回の値上げの理由を探ってみた。「円安」を原因として挙げているメーカーが最も多く、その他に生産国の生産減による供給不足、国際価格の高騰、中国やインドなどの新興国の需要増なども目立っている。

実際、輸入品の価格を示す「輸入物価指数」は上昇傾向にある。基準年(100%)の2010年と比較すると、食料品・飼料は2014年7月時点で131.9%と30%以上上昇した。

今回値上げされた商品を見ると、大半は輸入に頼っている。

○食用油…油脂類(サラダ油、オリーブオイルなど)の自給率(カロリーベース)は、10数%程度だ。油脂類のうち、牛脂、ラード(豚脂)、バターなどの動物性油の自給率は70%程度だが、トウモロコシ、大豆、菜種など植物由来の植物性油自給率は2%程度に過ぎない。今回値上げされた食用油の原料は、菜種、トウモロコシなど植物性の油脂だ。

○パスタ…原料になっているのは主にカナダ産のデュラム小麦。そもそも、日本の小麦消費量のうち、国産小麦は約13%で、残りは外国産小麦でまかなっている状況だ。

○コーヒー…ほぼ100%輸入品。

○冷凍食品や加工食品…原料の多くを輸入に頼っている。今回の冷凍食品の値上げ理由も、新興国での需要にともなう原材料価格の高騰、またエネルギー費、物流費、包装材の製造コストの上昇などだ。

○乳製品…唯一、牛乳(飲用乳)は自給率が100%だが、円安を背景に牛のエサ代が高くなっていることや、燃料や電気料金の値上げなどがコストを押し上げていた。そもそも、後継者不足による酪農家数の減少で、飲用乳やチーズ・バターの原料となる「生乳」の生産量は減少傾向にある。生産を維持していくためにも値上げせざるを得ない状況だった。
ちなみに、生乳の価格は、酪農家団体と大手乳業会社の交渉で決定する。昨年の交渉の結果、2015年4月から牛乳向け生乳価格が1キログラム3円(約3%)引き上げられた。一方、チーズやバターなど乳製品の原料となる生乳も、14年度に比べ1キロあたり平均3円60銭上げられた。生乳の値上げは5年連続だという。

このほか輸入ワインやウイスキーなど、円安がそのまま仕入れ価格に直結するものも今回の値上げの対象になった。

「企業努力の限界」。地方中小メーカーも値上げ

円安が原料の価格を押し上げ、燃料や震災以降の電気料金の高騰がさらに追い打ちをかける。メーカーにとっては苦しい状況が続いている。

最近では大手だけでなく、地方の中小メーカーの中でも値上げを表明する企業も出てきた。佐賀県でアイスクリームを製造している竹下製菓は、3月1日から主力商品16品目の価格改訂と2品目の内容量変更を実施。同社によると、「商品の主原料である乳原料やチョコレート、包装資材の価格高騰に加え、エネルギーコストの上昇などコストアップを吸収すべくさまざまな対策を行ったが、企業努力の限界を超えると判断した」という。

執筆者プロフィール

白田 茜(フリーランス記者) 

1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をした後、現在は小売や食品関連の記事を書いている。
関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション、マーケティング。

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