企業インタビュー

月桂冠がプライドをかけて挑む「生酒」づくりと販売戦略~生酒(月桂冠)

2015年04月14日

酒に新しい価値を見出そうとする進取の気質

白壁土蔵に焼き杉板。老舗の酒蔵を象徴する風景

月桂冠は、国内有数の酒処として知られる京都・伏見で380年近くの歴史を誇る老舗蔵だ。京都の老舗といえば歴史と伝統を重んじる気風が強そうだが、日本酒界の常識を覆すような酒造りに対して抵抗は無かったのだろうか。

「最先端の科学や技術を取り入れるなど、新しい酒造りに挑戦する社風は当社の伝統です。これまでも腐りやすかった酒を防腐剤無しで商品化したり、日本初の四季醸造システムを構築したりと、業界初の試みを次々と成功させてきました。常温流通可能な生酒も、そんな流れの中で生まれた商品だと思っています」(田中さん)

今でこそ伏見は酒処として知られているが、昔は関西で酒処といえば神戸の灘や伊丹だった。江戸の市場では、灘や伊丹の酒に比べ「伏見の酒は場違い酒」と揶揄されたこともあるという。それを打開するためには、独自の技術力で酒の品質を上げるしかなかったのだ。

新しい酒造りで月桂冠の名を広めた11代目当主、大倉恒吉氏

「伏見の小さな酒蔵から灘や伊丹に負けない酒を生み出そうと奮闘したのが、現社長の曽祖父にあたる11代目の大倉恒吉です。1909年(明治42年)には清酒メーカーとして国内初の酒造研究所を創設し、酒造りに科学的技術を導入して一代で500石から50,000石へと100倍にも成長させました。月桂冠の伝統は、創造と革新を繰り返すことで受け継がれてきたのです」(石田さん)

職人気質が強く、神頼みの要素も色濃い酒造りの世界に科学を導入することは、当時の常識からすると極めて画期的な挑戦だったはずだ。

その進取の気質で培った様々な技術は、常識破りな生酒の商品化にもいかんなく発揮された。「火入することなく、常温で生酒の酒質を保つ」。そんな課題を解決したのが、同社ならではの高度な濾過技術だ。

生酒の高度な濾過を行う限外濾過機

「日本酒には、大小数えきれないほどの分子が含まれています。当社では、火入れではなくフィルターでそれらを取り除く独自の濾過技術を開発しました。近年では、酵素を約90%まで取り除くことに成功し、酒質の変化を最小限に抑えしぼりたての味を損なわないまま大幅な保存期間の延長が可能になりました」(石田さん)

最新技術によって生まれた、業界初の常温流通可能な生酒。科学によって酒造りを変えてきた同社なら、その誕生は何ら不思議なことではないのかもしれない。

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