企業インタビュー

外食アワード受賞の裏にあった、衝撃の出会いとシェア活動~ドライエイジングビーフ(さの萬)

2014年04月29日

一定の温度、湿度、強い風が吹いている熟成庫

「すべてはタイミングですね。霜降り全盛の時代を経て消費者の嗜好が赤身へと変わってきたことや、熟成香を生む微生物を特定できたのもラッキーだったと感じています。顧客ニーズの少し先を見越す目というのも、すべてはお客様の声を拾っていくというなかで形成されていったことです」


「顧客ニーズを拾う」と佐野社長は言うが、これは決して簡単なことではない。しかし、さの萬は創業当時から顧客ニーズを拾うことに長けていたという。
「我々は精肉店ですから小売りもやります。その現場でお客様と向き合いながら生の声に耳を傾ける環境があったんです」

佐野社長はヒットを生み出すために大切なことについて、こうも話す。
「やはり、実行することです。わかっていても、やらない方もいる。でも、お客様の声をひとつひとつ実行していくことが基本だと思います。それが次のステップに繋がるのではないでしょうか」

市場拡大のために、技術をオープンにする必要性

株式会社さの萬・佐野佳治社長。大学卒業後、食肉学校へ通い、
大正時代から続く老舗の三代目として約40年、精肉を扱う

現在、ロース肉に換算して月間400本ほどを扱うドライエイジングビーフは、これまでホテルやレストランなどを中心に取り引きしてきたが、最近では有名デパートや大手スーパーなど流通業者からの引き合いも強いという。ただし、今後さらに市場を広げていく上での懸念がないというわけではない。

「ドライエイジングビーフを皆さんに認知していただくのはとてもありがたいことですが、ドライエイジングとは名ばかりの、腐敗した肉や脂が酸化してしまった肉も出回っているのも現実です。それを食べて、『これがドライエイジングビーフか』と思われてしまうのは非常に問題だと思っています」

そんな間違った認識を少しでも減らすため、佐野社長が意識して取り組んでいることがあるという。

「日本ではまだ新しく馴染みの薄い肉だからといって、その本質を知っている者だけが独占しているようでは広がりがありません。うちのような小さな精肉店が、全国規模で展開できるわけではないですから。私にとっては、熟成技術や調理法を含め本当のドライエイジングビーフを皆さんに知っていただいて、その良さを分かち合うことの方が大切だと思っています」

本物の味を独占するのではなくオープンマインドでシェアしてこそ市場が開けていくという佐野社長。精肉店などの同業者に対して積極的に説明会や講演会を開き、飲食店のみならず一般の消費者に向けても試食会を行うなど、実際にその味を体験してもらえる機会を設けて、全国各地を飛び回っている。冒頭でも触れた「外食アワード2013」での大賞受賞は、そんな活動が評価された証だといっても過言ではないだろう。

最後に、これまで約40年にわたって富士宮の地元を大切にしながら、全国へ向けて新しい食肉文化の発信を続けて来た佐野社長が心に留めている言葉を紹介したい。

「不二求心という言葉があります。世の中にふたつとないものを作り出していくということです。私はちっぽけな肉屋の主ですから、大手さんと同じ事をやっていたのでは勝負になりません。常に人がやらない何かを求めながら仕事をしなければいけないと思っています」

現在、東京でのレストラン出店に向けて準備を進めている佐野社長。本物のドライエイジングビーフと出会う機会は今後、さらに増えて行くことだろう。

株式会社さの萬

住所 〒418-0067 静岡県富士宮市宮町14-19
電話 0544-26-3352
事業内容 食肉販売、食肉加工品販売、卸売・小売業
公式HP http://www.sanoman.net/
お話 代表取締役社長 佐野佳治様

企業インタビュー  バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ

食品卸の受注業務を管理する『TANOMU』


業務用食品、衛生関連資材の購入は、BtoBプラットフォーム商談 eSmartで!会員登録無料・今なら3500ポイントプレゼント!

メルマガ登録はこちら
フーズチャネルタイムズ 無料購読はこちら