「平成27年度 病害虫発生予報第10号」の発表について

掲載日: 2016年02月23日 /提供:農林水産省

平成28年2月23日

農林水産省

「平成27年度 病害虫発生予報第10号」の発表について

向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報については、次のとおりです。

  • これから育苗が始まる水稲では、塩水選、種子消毒を的確に実施し、健全な苗を育苗することに努めてください。
  • 全国の病害虫の発生動向としては、いちごではうどんこ病、灰色かび病及びハダニ類の発生が多く、きゅうりではべと病、トマトでは疫病及び灰色かび病の発生が多いと予想されます。

気象・環境

〇気象庁の向こう1か月予報(2月18日発表)では、気温は沖縄・奄美を除いて全国的に平年並~高い、降水量は平年並~多い、日照時間は平年並~少ない傾向と予想されています。施設栽培では、多湿や日照不足でべと病、灰色かび病などの病害の発生が多くなり、また、温暖な日が続くことで早期からハダニ類などの害虫の発生が多くなることが懸念されます。天候の推移に留意するとともに、ほ場の観察をきめ細かく行い、早期発見、早期防除に努めてください。

水稲

<イネいもち病等種子伝染性病害>

〇イネいもち病、イネもみ枯細菌病、イネばか苗病等の種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種籾を介した病害の発生が懸念されます。育苗に当たっては汚染の少ない種子を使用するように努め、塩水選や種子消毒等を的確に実施してください。

  • イネいもち病では一部の薬剤に感受性が低下している耐性菌が発生していることから、育苗箱施用剤による処理に当たっては、都道府県から発表されている耐性菌の分布情報を参考にして、使用する薬剤の選定・準備をしてください。

<イネ縞葉枯病>

〇本病は、イネ縞葉枯ウイルスに感染した稲を吸汁したヒメトビウンカが媒介し、経卵伝染します。また、ヒメトビウンカは、イネ科雑草で越冬します。本ウイルスを保毒したヒメトビウンカの増殖を防止するため、本病の発生が確認されたほ場では、伝染源となる再生株(ひこばえ)のすき込み及び周辺の雑草除去に努めてください。近年、イネ縞葉枯病の保毒虫率が高まっている地域では、ヒメトビウンカに効果の高い育苗箱施用剤による防除を実施してください。

野菜・花き

野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びそ
の地域

作物名 病害虫 発生が「多い」と予想される地域 発生が「やや多い」と予想される地域
いちご うどんこ病 南九州(熊本、宮崎) 南東北(福島)、南関東(神奈川)
炭そ病 東海(静岡)
灰色かび病 関東(群馬、千葉) 東海(愛知)、九州(長崎、大分、熊本)
アブラムシ類 東海(静岡)、南関東(埼玉、千葉)、南九州(宮崎)
ハダニ類 南東北(福島)、東海(静岡、愛知)、九州(福岡、佐賀、熊本、大分、宮崎、鹿児島) 関東(茨城、埼玉)、近畿(奈良)
キャベツ 菌核病 北九州(福岡)
アブラムシ類 北九州(福岡)
コナガ 南関東(千葉)
ヨトウガ 北九州(福岡)
きゅうり うどんこ病 北九州(佐賀) 沖縄
灰色かび病 北関東(群馬)、南九州(熊本)
褐斑病 北九州(佐賀)
べと病 東海(愛知)、九州(佐賀、熊本) 北関東(栃木)、四国(愛媛)
アザミウマ類 北九州(長崎)、南関東(埼玉)、沖縄
コナジラミ類 北九州(佐賀)
たまねぎ 白色疫病 四国(愛媛)
トマト 疫病 南関東(千葉) 東海(静岡)、九州(佐賀、長崎、宮崎)
灰色かび病 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉)、東海(静岡) 九州(佐賀、熊本、宮崎)
葉かび病 北関東(栃木)
アブラムシ類 南関東(埼玉)、東海(静岡)
なす 灰色かび病 東海(愛知)、南九州(熊本)
すすかび病 九州(福岡、佐賀、熊本)
ねぎ アブラムシ類 南関東(埼玉)
ピーマン うどんこ病 北関東(茨城)
ばれいしょ 疫病 南九州(鹿児島)
ほうれんそう アブラムシ類 南関東(埼玉)
レタス 菌核病 四国(徳島、香川)
灰色かび病 四国(香川)
アブラムシ類 東海(静岡)、四国(香川)

注1)都道府県名の下線は、各地の平年値より「多い」と予想されることを指し、下線なしは、「やや多い」と予想されることを指します。

注2)表中の「都道府県」については、必ずしも、その全域で発生がみられるものではありません。

<野菜共通>

アブラムシ類の発生は、いちご、キャベツ、トマト、ねぎ、ほうれんそう及びレタスで「多い」又は「やや多い」と予想される地域があります。本虫は多発してからでは防除が困難となるため、現在発生が少ない地域でも、ほ場の観察をきめ細かく行い、早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に防除を実施してください。

<キャベツ及びレタス>

〇今冬、キャベツ及びレタスの菌核病の発生が多かったほ場では、土中に菌核が混入することにより、翌年も多発することが予想されます。菌核が付着した残さは、菌核をほ場に落とさないようにビニール袋などに入れて、ほ場外に持ち出して処分するか、ほ場内で土中深くに埋めて処分してください。

  • 薬剤防除を実施する場合は、各都道府県の指針に従って、株もとからの丁寧な散布に努めてください。
  • 病斑上に形成された菌核は土中に混入して長期間生存し、伝染源となるため、本病の発生を認めた場合は、菌核が形成前される前に被害株を除去するよう努めるとともに、形成された菌核を確実にほ場から除去することが重要です。
  • 本病は低温、多湿条件で発生が助長されます。露地栽培でもほ場の排水を良くするとともに、トンネルやべた掛けで被覆している場合は内部が過湿にならないように換気を行ってください。

<いちご、きゅうり及びトマト>

〇施設栽培でイチゴうどんこ病イチゴ灰色かび病キュウリべと病トマト疫病及びトマト灰色かび病等の発生が多いと予想されます。これらの病害は多発してからでは防除が困難なので、発病の早期発見に努め、り病部位を確実に施設内から除去するとともに、適時適切な薬剤防除を実施してください。

  • 施設内の観察をきめ細かく行い、発生を確認した場合は、伝染源となる発病葉や発病果の除去を行うとともに、使用する登録農薬の使用時期(収穫前日数)に注意して、早期に葉裏等への丁寧な薬剤防除を実施してください。
  • 多湿条件は、病害の発生を助長します。また、葉が込み合うと多発しやすくなるので、枯葉や下葉等の不要な葉を除去し、株間の通気を図るなど適切な栽培管理を実施してください。

〇いちごでは、九州を中心に多くの地域でハダニ類の発生が多いと予想され、平成28年2月4日には熊本県から警報が発表されています。本虫は発生密度が上昇してからでは防除が困難なため、早期発見に努め、寄生葉の除去や発生初期での薬剤防除を実施してください。

果樹・茶

<果樹共通>

〇昨年多発した病害虫は、春に早期から発生が多くなることが懸念されます。発生を抑制するため、この時期から春にかけての病害虫防除を効率的に実施し、越冬量及び越冬密度を低下させることが重要です。

〇1月下旬の積雪等により、枝が折れる等損傷した樹体は、病害虫に侵されやすくなっていますので、傷口に薬剤を塗布する等の処理を適切に実施してください。

  • 病害対策としては、春の一次伝染源となる被害落葉やり病枝葉の除去、病斑部の削り取りを実施してください。モモせん孔細菌病の常発地や前年にナシ黒星病等の病害が多発した園地では特に徹底してください。
  • 虫害対策としては、ハダニ類カイガラムシ類の発生が多かった園地では、粗皮削りやマシン油散布による防除を実施してください。

<キウイフルーツ>

〇2月は樹液が流動し始める時期であり、キウイフルーツかいよう病の感染樹では菌液を含む樹液が枝幹部のせん定口や落葉痕から漏出することがあります。この症状を手がかりに、園内をきめ細かく観察し、早期発見、早期防除に努め、感染樹を発見した際には、適切に発症部位の除去等を行うことが必要です。

  • 枝幹部からの樹液の漏出に注意しながら園内の見回りを実施し、萌芽期以降は、樹液の漏出以外に花蕾の変色、葉の褐色斑点、新梢の変色と枯れ込み等の症状にも注意してください。
  • 感染樹を発見した際は分散防止のため登録農薬を施用し、速やかに発症部位の基部寄りから切除(骨格枝あるいは主幹側に強く切り戻し)等を実施してください。
  • ハサミなどの作業器具は、樹ごとに200ppm以上の濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液又は70%エタノールを用いて消毒し、枝等の切除を行った際は、切り口に登録農薬(チオファネートメチル剤)を塗布することを徹底してください。切除及び伐採を行った枝等は、土中への埋没又は焼却により処分をしてください。

<うめ>

ウメ輪紋病は、アブラムシ類によって媒介されるうめ、もも、すももなどのサクラ属植物の病気です。アブラムシ類は、春先に気温が高くなると発生が多くなり、密度が高くなると有翅虫が発生します。有翅虫の発生に伴い、本病ウイルスが拡散することが懸念されることから、本病の発生が確認されている地域では、生産ほ場に加えて、民家の庭木や公園樹等においても、アブラムシ類の発生初期での防除を徹底してください。

<茶>

赤焼病の常発園地や前年にカンザワハダニが多発した園地では、園内の観察をきめ細かく実施し、早期発見に努め、初発を確認した場合は速やかに防除することが重要です。

  • 赤焼病の薬剤防除には、カスガマイシン・銅水和剤等の散布が有効です。また、休眠期のカンザワハダニ(体色は朱色)に対する薬剤防除の効果は低いことから、雌成虫の体色が濃い赤色であることや近くに卵や幼虫がいること等を目安に、早期発見に努め、カンザワハダニの休眠明けに薬剤散布を行うことが有効です。

都道府県が発表した警報、注意報及び特殊報

平成27年11月17日以降、都道府県が発表している警報、注意報及び特殊報は以下のとおりです。

警報

重要な病害虫が大発生することが予測され、かつ、早急に防除措置を講ずる必要がある場合に発表します。

発表月日 都道府県名 対象 対象病害虫名
2月4日 熊本県 いちご ハダニ類

注意報

警報を発表するほどではないが、重要な病害虫が多発することが予測され、かつ、早めに防除措置を講じる必要がある場合に発表します。

発表月日 都道府県名 対象 対象病害虫名
11月25日 大分県 白ねぎ ネギべと病
12月1日 愛知県 きゅうり キュウリべと病
12月1日 宮崎県 いちご ハダニ類
12月2日 熊本県 いちご ハダニ類
12月17日 長崎県 いちご イチゴ灰色かび病
12月22日 佐賀県 トマト トマト疫病
12月24日 静岡県 レタス レタス斑点細菌病及びレタス腐敗病
1月5日 愛知県 いちご イチゴ灰色かび病
1月14日 岐阜県 いちご ハダニ類
1月14日 福岡県 いちご ハダニ類
1月28日 栃木県 トマト トマト灰色かび病
1月28日 佐賀県 いちご ハダニ類
1月29日 沖縄県 にがうり ニガウリ斑点病
1月29日 沖縄県 きゅうり、にがうり、とうがん、さやいんげん ミナミキイロアザミウマ
2月4日 佐賀県 たまねぎ タマネギべと病

特殊報

新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認めら
れた場合に発表します。

発表月日 都道府県名 対象 対象病害虫名
11月17日 神奈川県 めぼうき(バジル) メボウキべと病(仮称)
11月20日 長野県 日本なし ニホンナシハモグリダニ(仮称)
11月20日 愛媛県 さつまいも ヨツモンカメノコハムシ
11月20日 福岡県 もも モモ果実赤点病
11月20日 福岡県 なし ヒメボクトウ
11月20日 鹿児島県 マンゴウ キイロワタフキカイガラムシ
11月30日 茨城県 トマト トマト退緑萎縮病(TCDVd)
12月1日 愛知県 しそ、えごま シソサビダニ
12月4日 神奈川県 トマト トマト退緑萎縮病 (TCDVd)
12月15日 群馬県 なす ミツユビナミハダニ
12月24日 秋田県 いちじく イチジク株枯病
1月4日 大分県 しそ シソサビダニ
1月4日 大分県 めぼうき(バジル) メボウキべと病(仮称)
1月8日 岡山県 ほうれんそう、しゅんぎく オオクビキレガイ
1月8日 群馬県 ブルーベリー ブルーベリータマバエ(仮称)
1月14日 岐阜県 きく キク茎えそ病(CSNV)
1月15日 鹿児島県 アブラナ科野菜(キャベツ) ケブカノメイガ
1月20日 神奈川県 トマト トマト黄化病
1月28日 長野県 くるみ クルミ黒斑細菌病(仮称)
(クルミ褐色腐敗病)
1月29日 愛媛県 くるみ クルミ黒斑細菌病(仮称)
(クルミ褐色腐敗病)
1月29日 沖縄県 めぼうき(バジル)
メボウキべと病(仮称)
2月10日 神奈川県 トマト トマト葉かび病(レース2.9)

病害虫防除に関する留意事項

一般

  • 病害虫の防除を効果的に実施するためには、病害虫の発生状況を的確に把握し、早期発見に努め、適期の防除につなげることが大切です。病害虫の発生は天候の影響を大きく受けるので、天候の状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報を確認し、地域ごとの防除指針に従って防除を実施してください。
  • 薬剤防除を実施する場合は、適切な薬剤を選択するとともに、病害虫が薬剤抵抗性を獲得しないように、同一系統薬剤の連続使用を避けてください。また、農薬の使用基準を遵守し、散布対象外の農作物等に農薬が飛散しないよう対策を講じてください

露地栽培

  • 引き続きほ場観察を行い、病害虫の早期発見に努め、発生を認めた場合は適期に薬剤防除等を実施してください。

施設栽培

  • 冬期は加温により施設内の気温が外気温より高くなり、結露が生じるなど病害虫が発生しやすい環境になります。
  • 施設内が過湿になると、病害の発生が助長されます。雨水が施設内に入らないように留意するとともに、過度なかん水を回避する、循環扇を設置する、換気を行う、作物の株間の通風を図る等により、施設内が過湿にならないように管理してください。また、病害の早期発見に努め、伝染源となるり病葉やり病果は除去し、適期に薬剤防除を実施してください。
  • 温度及び湿度の調節のため施設を開放する際、ウイルス病を媒介するアザミウマ類アブラムシ類コナジラミ類等や、その他の害虫の侵入及び野外への飛び出しを防止するため、施設の開口部に防虫ネットを設置する等の対策を実施してください。また、雑草はこれらの害虫の発生源となりますので、施設内及び周辺の定期的な除草に努めてください。
  • 作物残さは、害虫の発生源となり、り病葉、り病果は、病害の伝染源となります。栽培終了後は蒸し込み処理等を行い、作物残さでの生存虫を死滅させてから搬出し、土中に埋める等確実に処分をしてください。

その他

  • ウメ輪紋病及びミカンコミバエ種群の発生地域においては、引き続き緊急防除への御協力をよろしく願いします。また、ジャガイモシロシストセンチュウが確認された地域では、引き続き土壌の移動防止などのまん延防止対策の徹底をお願いします。

用語解説

地域

北海道:北海道
東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
北東北:青森県、岩手県、秋田県
南東北:宮城県、山形県、福島県
関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
北関東:茨城県、栃木県、群馬県
南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
甲信:山梨県、長野県
北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県
東海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
南九州:熊本県、宮崎県、鹿児島県
沖縄:沖縄県

発生量(程度)

多い(高い):やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い(やや高い):平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並:平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない(やや低い):平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない(低い):やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)

(参考)これまでの発表


第 1号:4月21日(火曜日)
第 2号:5月19日(火曜日)
第 3号:6月23日(火曜日)
第 4号:7月14日(火曜日)
第 5号:7月28日(火曜日)
第 6号:8月18日(火曜日)
第 7号:9月18日(金曜日)
第 8号:10月20日(火曜日)
第 9号:11月24日(火曜日)

消費・安全局植物防疫課
担当者:防除班 春日井、石部
代表:03-3502-8111(内線4562)
ダイヤルイン:03-3502-3382
FAX:03-3502-3386

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