ブームの真相

期間限定メニューなど、飲食店での導入が進むジビエ料理。大手企業の参入も

2017年08月09日

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藤木氏がオーナーシェフを務めるフランス料理店
「オーベルジュ・エスポワール」

「猟師の『無駄な殺生はしたくない』という思いです。駆除後、焼却や埋設などの処分では、せっかくの命が無駄になっていると感じているのです。ジビエ肉を使った料理に、その命を生かしたいということですね」

だが大手企業の参入が進まず、消費量が増えない。その理由は、ジビエ肉の安定した供給と、安全性の確保にある。

しかし、そうした流れが近年変わりつつある。行政によるジビエ振興が打ち出されたのである。農水省と環境省では2013年12月に「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を掲げ、ニホンジカとイノシシの駆除の増加を目指し、2015年に鳥獣保護法が改正された。

また、現在は駆除された野生動物がジビエとして利用されるのは5%程度と言われており、農水省では2019年までに30%に引き上げたい意向だ。これにより絶対量が増え、安定した供給が可能になる。

また、ジビエ肉の安全性についても、大幅に改善できる可能性を秘めているのが、農水省の補助事業として今年度施行予定の「国産ジビエ流通規格」である。農水省が公認する認証機関によって、ジビエの処理加工施設に対して厚労省が定める衛生基準などに適合しているかが審査され、合格した施設で処理されたジビエ肉に認証マークが貼られる。

「協会としても、衛生的な処理に取り組んできました。長野トヨタ自動車と共同で、移動式の解体処理車『ジビエカー』を開発したのもその一環です。今まで衛生基準等を満たしているという保証はありませんでしたが、認証シールを貼り、他のあいまいな肉とは線引きをしようということです」

この制度が始まれば、認証マークがあるジビエ肉は衛生基準などに適合していることが担保されるため、大手企業も扱いやすくなる。

「先日、外食企業で作る協会の方々が、今後ジビエを使った料理を提供していきたいと、当協会に話を聞きに来てくれました。会長からも『(体制が)整ったら使いたい』と言っていただきました。このルールがうまく運用できれば川上(産地)と川下(消費地)の接点ができて、両者がつながるはずです」

大手外食企業はもちろん、小売店でも扱いが増えることで、ジビエを国民の食材として根付かせる。それこそが藤木氏の目指すところである。その大きな流れは、もう目の前に迫っている。

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